2013 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルス・肺炎球菌重複感染マウスにおけるマクロライド系抗菌薬の効果
Project/Area Number |
23791139
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森田 十和子 (永田 十和子) 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 客員研究員 (50569960)
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Keywords | macrolide / influenza / clarithromycin / PAF receptor |
Research Abstract |
もっとも代表的な感染症の一つとして、インフルエンザウイルス感染症が挙げられるが、インフルエンザウイルス感染後の二次性細菌性肺炎はインフルエンザウイルス感染症の最も重要な合併症の一つである。また、マクロライド系抗菌薬(MCLs)の薬理作用として、抗菌活性以外にも直接的な抗インフルエンザ作用などをもつことも報告されているが、我々はインフルエンザウイルス感染後に肺炎球菌を感染させる二次性重症肺炎マウスモデルを作成し、そのモデルを用いてMCLsの二次性細菌性肺炎の重症化における抑制効果を検討した。 SPF雄性6週齢CBA/JNマウスにDay0にインフルエンザウイルス、Day4に肺炎球菌を重複感染させた二次性肺炎モデルを作成。このモデルに対してクラリスロマイシン(CAM)を10日間(Day-7~Day3)連日経口投与したところ、CAMは二次性肺炎モデルにおいて、生存期間の延長及び体重減少を遅らせる効果が認められた。その機序を調べるために、Day6における肺ホモジネートのサイトカイン濃度を測定したところ、Th1サイトカインであるIL-12、IFN-γを増加させる傾向が認められた。また、肺炎球菌の気道への定着因子であるPAFレセプターにも着目し、Day4におけるPAFレセプターのmRNA発現をリアルタイムPCR法を用いて測定したところ、CAMはPAFレセプター発現を抑制させる傾向が認められた。これらの結果から、インフルエンザウイルス感染後の二次性細菌性肺炎モデルにおいて、CAMはIL-12、IFN-γを誘導し、PAFレセプター発現を抑制することにより、重症化を抑制すると考えられた。 また、以上の研究内容を、平成25年1月12日に博多にて開催された第12回肺分子病態研究会にて発表した。 現在はより臨床的なモデルとしてCOPDマウスモデルを作成し、上記と同様の研究を行っている。
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