2012 Fiscal Year Annual Research Report
相同組換えによる安全な遺伝子修復法のアデノシンデアミナーゼ欠損症への適用
Project/Area Number |
23791147
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内山 徹 東北大学, 大学病院, 助教 (10436107)
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Keywords | 原発性免疫不全症 / 遺伝子治療 / 相同組み替え / iPS細胞 / 造血幹細胞 |
Research Abstract |
アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症への相同組換えによる安全な遺伝子修復法の確立に向け研究を行った。初年度はADA欠損症患者由来(exon7のホモ接合型点変異)のFibroblastにcMyc、Oct3/4、Sox2、Klf4を導入しiPS細胞を樹立し、 また相同組替えによる遺伝子修復を目的に、exon7およびホモロジーアームを含むアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を作製した。引き続き最終年度である本年度では以下の研究を行った。1.ADA欠損症患者から作成したiPS細胞(ADA-iPS)のADA活性を測定し、正常人由来のiPS(normal-iPS)との間に差があることを確認した。遺伝子修復後の選択のため、作製したADA-iPSとnormal-iPSを用いてdeoxyadenosine(dAdo)の至適濃度を決定した。この結果を基に、作製したAAVベクターをADA-iPSに感染させdAdoによる選択を開始したが、dAdo耐性クローン(ADA活性の回復による)の獲得はできなかった。常染色体劣性疾患であることからnormal-iPSとはADA遺伝子に2コピーの違いがあり、設定濃度のdAdoへの耐性獲得には両変異アリルの修復が必要と考えられた。現在は一般的な選択遺伝子の使用に関して検討中である。2.遺伝子修復iPS細胞の造血幹細胞への分化の前実験として、正常マウスのES、iPS細胞の血液細胞への分化を試みた。HoxB4を導入しOP-9ストローマ細胞状で造血前駆細胞への分化を図りマウスへ移植したが有効な造血が確認できず、一般的な造血幹細胞マーカー陽性群にも未分化な細胞が含まれることが考えられた。しかし、in vitroでの培養系においてTリンパ球、Bリンパ球への分化は確認でき、今後相同組換えをおこなったiPS細胞の機能回復(リンパ球への分化など)の評価は可能と考えられた。
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Research Products
(7 results)