2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規非翻訳RNAのクローニングとグルタミン酸レセプター遺伝子への影響に関する研究
Project/Area Number |
23791174
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
粟野 宏之 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (30437470)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 非翻訳RNA |
Research Abstract |
我々はこれまでジストロフィン遺伝子のエクソン配列内に挿入された変異配列の解析から新規非翻訳RNAを同定した。この研究は新規非翻訳RNAのクローニングと機能解析を行うものである。 H23年度の研究で、非翻訳RNAの全長が452塩基であることを同定した。非翻訳RNAが他の遺伝子に影響を与える種類のものであるならば細胞内の局在は核内である。よって、当該非翻訳RNAの細胞内の局在を検討するために、HeLa細胞の核抽出液をもちいてRT-PCRをおこなった。いくつかのHeLa細胞の株を用いて3回検討したが、増幅産物を得られなかった。よってHeLa細胞においては当該非翻訳RNAは核内の存在しないことが明らかになった。次にHeLa細胞が実験に適切でないと考えたため、当該非翻訳RNAが強く発現している臓器を検索した。臓器特異性、発生の段階の特異性を検討するために、ヒト胎児組織、ヒト組織の全RNAを用いてRT-PCRを行った。その結果、胎児期では大脳のみに発現を認め、臓器別には大脳、甲状腺、胎盤、精巣、骨格筋、前頭葉、小脳、大脳皮質において発現を認めた。当該非翻訳RNAは脳においてのみ胎児期から成人期にかけ発現していたため、脳の形成や発達、機能獲得や維持に関連している可能性が考えられた。ヒト脳培養細胞は入手困難であるため、マウス脳cDNAを用い検討したところ、非常に弱い発現しか認めずマウス脳は適切な標本でないことが判明した。次に神経系の悪性腫瘍である神経芽細胞腫を用いて発現の検討をおこなったところ、発現を認めた。さらに、当該配列の種を超えたゲノム上の保存性を調べるためにオラウータン、チンパンジー、ゴリラのDNA上の配列を検討したところ、それぞれ962%、99.1%、99.5%と高度に配列が保存されていたためこれらのヒト科の動物において重要な機能を有している可能性が示唆された。
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