2012 Fiscal Year Annual Research Report
連鎖解析とキャプチャーリシークエンスによる全身性エリテマトーデスの原因遺伝子同定
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23791179
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
北村 明子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (10448318)
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / キャプチャー・リシークエンス |
Research Abstract |
全身性エリテマトーデス(SLE)は、慢性で難治性の全身性自己免疫疾患である。特に、ループス腎炎はSLEの主要な合併症であり、進行例では末期腎不全に至る。SLEは多因子疾患と考えられ、疾患感受性に関与する免疫機能分子の遺伝子多型が数多く同定されてきた。しかし、いずれの多型も疾患発症への寄与は決定的ではなく、未だSLEの遺伝的素因の全貌は不明である。以上の背景から、本研究では、近親婚歴を有し、遺伝要因が明らかなSLE大家系を対象に、ポジショナルクローニングおよびエクソンキャプチャー・リシークエンス解析を適用し、SLE責任遺伝子の同定を目指している。この研究の成功は、免疫システムの過剰活性化に起因するSLEの病態の本質的な理解のみならず、自己免疫性腎炎の発症機構について新たな概念を創出できる可能性がある。 これまで、両親が近親婚の4名の同胞のうち3名がSLEと精神疾患を発症した極めて稀な家系を対象にゲノム解析を行い、疾患遺伝子座(FSLE2; 1.1Mb)の同定に成功している。本研究の初年度は、FSLE2領域のエクソンキャプチャー・リシークエンス解析により多型を抽出した。本年度は、抽出した多型の中から既知の多型を除外した後、罹患同胞が共有し、非罹患同胞が共有しないホモ接合体の多型を選別し、候補となる多型を同定した。この多型について、日本人におけるアレル頻度を解析したところ、比較的稀な多型であった。さらに、この多型は候補遺伝子の機能ドメインに位置しており、アミノ酸置換を伴う多型であった。また、ミスセンス変異を生じたアミノ酸は種を超えて保存されていることから、候補遺伝子の機能において重要なアミノ酸であることが示唆された。現在、候補遺伝子産物の生化学的特徴を明らかにするとともに、変異がその分子機能を変化させるメカニズムを解明するために候補遺伝子の遺伝子改変マウスを作製している。
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