2011 Fiscal Year Research-status Report
周産期脳障害に対する骨髄幹細胞を用いた新規治療開発
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23791220
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 義朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (30435862)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 周産期低酸素性虚血性脳症 / 幹細胞 |
Research Abstract |
本研究課題の最終目標は、周産期低酸素性虚血性脳症(HIE)に対し、理想的な幹細胞源である骨髄単核球および骨髄間葉系幹細胞による治療法を開発することである。 今年度は、臍帯血幹細胞による周産期HIEに対しての効果の確認、および骨髄幹細胞の細胞採取法の確立を行った。 周産期HIEモデルは、国際的に汎用されている Rice-Vannucci モデルを用い、ラットの新生仔で作製した。 臍帯血採取は、帝王切開にて出生したヒト新生児の臍帯クランプ切離後、胎盤側より採血バックを用いて行った。Ficoll Paque法を用い単核球分画にし、使用まで液体窒素下に保存した。凍結保存した臍帯血を解凍し、低酸素虚血負荷6時間後に、5×106個の細胞を腹腔内投与した。低酸素負荷後24時間後に、抗active-caspase-3抗体により、アポトーシス細胞数をコントロール群と比較したところ、海馬においてアポトーシスが抑制されていた。また、抗4-Hydroxy-2-Nonenal抗体を使用し、酸化ストレスに及ぼす影響を調べたところ、細胞投与群では、海馬における酸化ストレスを抑制することがわかった。さらに、負荷後3週間後に行ったshuttle avoidance testによる学習障害の評価でも、臍帯血幹細胞投与により障害を軽減することが明らかとなってきている。 骨髄幹細胞採取に関しては、生後3週齢のラット大腿骨および腓骨から採取した細胞を、Ficoll Paque法を用い単核球分画に分離した。採取した細胞において顆粒球・マクロファージコロニー形成細胞(GFU-GM)数を評価し、細胞の質が問題無いことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
骨髄幹細胞採取のより安定した系の確立に時間がかかり、実験計画が遅れたが、比較的若年齢のラットを用いることにより確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
臍帯血幹細胞を用いた治療に関して、さらなる行動評価を行う予定である。骨髄細胞に関しては、確立された方法で採取した骨髄単核球を周産期HIEモデルラットに投与し、細胞死を含む各種マーカーの動きを免疫組織学的に確認する。さらに行動評価にて学習障害、運動障害の改善を確認する。また、骨髄間葉系幹細胞に関しても同様な検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
より詳細な免疫組織学的検討のため、現在使っている顕微鏡システムに電動ステージが必要なことがわかった。本年度の予算の一部をこの購入に充てる予定である。
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Research Products
(6 results)