2012 Fiscal Year Research-status Report
ES細胞由来神経幹細胞を用いた、脳性麻痺に対する革新的な神経再生療法の開発
Project/Area Number |
23791229
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
朱 鵬翔 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40380216)
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Keywords | 脳性麻痺 / ES細胞 / 再生療法 / 神経前駆細胞 |
Research Abstract |
小児脳性麻痺は、生後4週までに何らかの原因で受けた脳の損傷によって引き起こされる運動機能障害を点す症候群である。脳性麻痺の発症率は、出生児千人に対しおよそ2人であり、小児脳障害の中で最も発症頻度が高い疾患として知られている。残念ながら脳性麻痺の根本的な治療法はなく、脳障害は生涯続くことになる。更に脳性麻痺の子供の90%以上が成人となることにより、患者の介護を含めた医療費は膨大なものとなっている。従って、脳性麻痺の治療法の開発は社会的にも重要な課題と考えられる。そこで本研究はマウスES細胞から分化誘導して作成した神経前駆細胞を脳性麻痺モデルマウスに移植し、小児脳性麻痺に対する革新的な神経再生治療法の開発を目的とする。本年度は前年度の計画どおりに生後6日目のNOD-SCIDマウスを用い、片側総頚動脈を永久閉塞後、一時間の低酸素負荷(hypoxia-ischemia stress) を行い、脳性麻痺モデルマウスを作成した。そしてES細胞より分化誘導して作成した大脳特異的神経前駆細胞を、障害半球の脳実質に注入した。その結果open fieldを用いた行動評価では、未治療群に比して治療群で有意な改善効果を認めた。さらに組織学的検討で障害半球の脳実質に移植した神経前駆細胞は極わずか生着した。この結果は少量の移植した神経前駆細胞が生着したことにより、NOD-SCIDマウスを用いた脳性麻痺モデルの症状を改善することを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初期の研究計画に基づき研究を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の実験結果では、少量の移植した神経前駆細胞が生着したことにより、NOD-SCIDマウスを用いた脳性麻痺モデルの症状を改善することが可能となった。従って今年度はさらに組織学的検討を行い、生着した神経前駆細胞が移植先の脳実質に与える影響を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1. マウスES細胞から神経幹細胞への分化誘導:Wataya等の方法(PNAS USA. 105:11796-801,2008)に従い、SFEB(serum-free floating culture of embryoid body-like aggregate)法にてマウスES細胞から神経前駆細胞への分化誘導を行う。 2. 大脳特異的神経前駆細胞の単離と未分化細胞の除去:Eiraku等の方法(Cell stem cell 3:519-32.2008)に従い、人脳に特異的なregional markerであるFoxG1遺伝子座にVenus遺伝子をレポーター遺伝子としてノックインしたES細胞株(FoxG1:venus株)をSFEB法で神経前駆細胞に分化させた後、FoxG1遺伝子を発現しVenusの蛍光(緑色)を発している細胞をFACS Sorterにて分離する。これにより大脳特異的神経前駆細胞を単離すると同時に、未分化細胞の混入による腫瘍の発生を防ぐことが可能となった。 3. 脳性麻痺モデル動物の作成と大脳特異的神経幹細胞の移植、及びその有用性の検討:生後6日目のSCIDマウス又はNOD-SCIDマウスを用い、一時間の低酸素負荷(hypoxia-ischemia stress)を行い、脳性麻痺モデルマウスを作成する。そして1,2、の手法により作成した大脳特異的神経前駆細胞を、脳実質に移植する。その後脳障害の程度や神経症状を定量化し、ES細胞由来大脳特異的神経前駆細胞移植による脳障害改善効果を検討する。また移植した細胞が生着し、既存の神経細胞とシナプス形成をしているかどうかを、電子顕微鏡観察を含め、形態学的に検討する。
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