2011 Fiscal Year Research-status Report
皮膚形成におけるCa2+制御とc-Ablによる分裂軸の配向制御
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23791265
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松村 繁 京都大学, ウイルス研究所, 助教 (60523511)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 分裂軸方向制御 / 皮膚 |
Research Abstract |
本研究の目的は、培養細胞及び皮膚基底細胞でのc-Ablによる分裂方向制御機構の解明である。これまでに全キナーゼのsiRNAライブラリを用いたスクリーニングを行い、非受容体型チロシンキナーゼであるc-Ablによる細胞分裂軸の配向制御を解析してきた。培養細胞及び皮膚基底細胞において、c-Ablは紡錘体の方向を制御することが知られているLGN及びNuMAの細胞表層の細胞膜への三日月様の局在を制御することで細胞の分裂軸方向を制御することを示してきた(Matsumura et al., 2012, Nat. Commun., 3: 626. doi:10.1038/ncomms1634)。さらに、GFP-LGN発現HeLa細胞のクローニングを終え、CaMK2阻害剤であるKN-93やCa2+イオノフォアionomycineを用いて、細胞内Ca2+シグナルの阻害と分裂軸制御およびLGNの膜局在の変化を解析した。しかし、いずれの場合も分裂軸の異常は観察されず、LGNの局在変化も有意な差は認められなかった。そこでCa2+シグナルが働く皮膚器官培養法での検証を行うため系を現在立ち上げている。さらに、c-Ablのノックアウトマウスと譲り受けたLGNノックアウトマウスの掛け合わせによってダブルノックアウトマウスの作出を現在行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度後半にc-Ablによる分裂軸方向制御についての解析結果がnature communicationsに掲載され、一定の成果をあげることができた。これにより示した内容により、本研究目的の約50%を達成することができたと考えている。H23年度に予定していたCa2+シグナルと分裂軸制御については、HeLa細胞を用いた検証ではネガイティブな結果が得られたが、H24年度にはin vivoにより近い皮膚器官培養法を用いて検証を行う予定である。さらに、c-AblのノックアウトマウスとLGNノックアウトマウスの掛け合わせ交配は既に行っており、ダブルノックアウトマウスの作出および解析はH24年度に確実にできるものと思われる。以上から、本研究計画はCa2+シグナルに関してうまくいっていないものの、全体としては概ね順調に進んでいるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
皮膚におけるc-Ablの分裂軸制御が果たす役割について、引き続き解析を行う予定である。特に、c-Ablノックアウトマウスの皮膚の分化にも焦点を当てて解析を行う。また、LGNノックアウトマウスとのダブルノックアウトマウスの解析を行う。一方、HeLa細胞でのCa2+シグナル阻害が分裂軸制御に影響を与えなかったのは、HeLa細胞においてCa2+シグナルが決定的な要素ではないためであろうと考えられた。そこで、in vivoにより近くCa2+シグナルが決定的な要素となる皮膚器官培養実験系を立ち上げ、Ca2+シグナル阻害が基底細胞の分裂軸制御にどのような影響を与えるのか検証する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H23年度同様、特に機器の購入はしない。マウスの実験は動物実験施設における自家交配繁殖である。基本的に実験消耗品、実験試薬の購入により実験を遂行する。また、機会があれば、成果の学会発表を行い意見交換、情報収集を行う予定である。
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[Journal Article] ABL1 regulates spindle orientation in adherent cells and mammalian skin.2012
Author(s)
Matsumura, S., Hamasaki, M., Yamamoto, T., Ebisuya, M., Sato, M., Nishida, E., and Toyoshima, F
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Journal Title
nature communications
Volume: 3
Pages: 626
DOI
Peer Reviewed
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