2011 Fiscal Year Research-status Report
不活化センダイウイルス粒子を用いた悪性黒色腫治療における抗腫瘍免疫基盤の確立
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23791268
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
種村 篤 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50457016)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 不活化センダイウイルス / 悪性黒色腫 |
Research Abstract |
不活化センダイウイルスを用いた進行性悪性黒色腫に対する臨床研究で予定している計6名のうちすでに4名の患者より本研究に必要な臨床検体を採取している。これらの血清を用いて、ヒト抗原に対するプロテインマイクロアレイを行い、不活化センダイウイルス投与により共通して上昇する自己抗体反応を同定した。この抗原は不活化センダイウイルス粒子と交叉しないタンパクであり、特異的免疫反応が惹起された可能性がある。さらに、不活化センダイウイルス投与後に誘導される腫瘍局所における免疫担当細胞の浸潤の変化を、免疫染色を用いて比較検討した。末梢血単核球および腫瘍内浸潤リンパ球も分離保存しており、全身と局所における抗腫瘍免疫応答の違いおよび制御性T細胞などの表現型を解析した。マウスでの解析に必要な、不活化センダイウイルス粒子の投与・非投与メラノーマ担癌マウスを作成しており、上記抗体反応がマウスにおいても確認されるか検討予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計6名中すでに4名から研究に必要な検体を採取完了している。当初目的としていた、ヒトにおける不活化センダイウイルス投与により誘導される網羅的抗体反応の解析を行い、4名すべての症例で共通する新規の自己抗体反応を同定できた。今後、このタンパクに対する細胞性免疫応答の解析へ展開するうえで大きな手がかりを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞性免疫応答の解析を行うため、マウス・ヒトの合成ペプチドを作成し抗原特異的細胞性免疫の誘導の有無を検討する。ELISAプレートを作成し他の悪性黒色腫担癌患者および健常人での抗体量を測定し新しいバイオマーカーとしての可能性を探索する。同時に、不活化センダイウイルス投与マウスでも抗体量を検証する。すでに分離した末梢血単核球および腫瘍内浸潤リンパ球を用いて詳細なFACS解析を行い、抗腫瘍免疫に関わる免疫担当細胞の表現型の違いを比較検討する。腫瘍浸潤リンパ球については、腫瘍組織を用いた免疫染色での結果と比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ペプチド合成の委託費の一部を今年度分で捻出しているが、詳細なペプチド領域の解析を行うため、残りの委託費を次年度分より捻出する。不活化センダイウイルス投与により誘導されないサイトカインのうち、抗腫瘍免疫を増強させるものを購入し、粒子内に封入・担癌マウスへの投与に用いる。得られた成果を発表するための費用を捻出する。
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