2012 Fiscal Year Annual Research Report
不活化センダイウイルス粒子を用いた悪性黒色腫治療における抗腫瘍免疫基盤の確立
Project/Area Number |
23791268
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
種村 篤 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50457016)
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Keywords | 不活化センダイウイルスベクター / 悪性黒色腫 |
Research Abstract |
当該研究を行うため、並行して進めていた臨床研究施行6名の悪性黒色腫症例より組織・末梢血検体を採取完了した。初年度の不活化センダイウイルス(HVJ-E)投与により誘導される網羅的抗体反応のアレイ解析により、全例で共通する新規抗原に対する自己抗体の検出に成功した。なお、同タンパクがHVJ-E構成タンパクと交叉しないことをホモロジー解析により確認している。我々はEILSAプレートを作成し、健常人・担癌患者およびHVJ-E投与した症例から時系列的に採取した血清を用いて抗体価を測定したところ、健常人および担癌患者に比べ有意にHVJ-E投与症例において上昇がみられ、さらに経時的に産生増加していた。次に、このタンパクの発現解析を行うため、まず正常細胞タンパクパネルを用いた発現解析を行ったところ、特に精巣で強く発現していることが見いだした。一方、メラノーマを含めた数種類のがん細胞株ではほぼ発現していないにも関わらず、HVJ-E刺激により発現が誘導され、担メラノーマ細胞株マウスの腫瘍組織での発現もHVJ-E投与後上昇しており、新規のHVJ-E特異的免疫誘導の手がかりとなる情報を得た。HVJ-Eによる抗腫瘍免疫誘導に関しては、特に、血中IFN-gamma、IL-6値の上昇、NK細胞活性の誘導が顕著であった。末梢血における免疫担当細胞分画には影響がなかったものの、HVJ-E投与局所ではCD4/8 T細胞およびCD68陽性マクロファージが密に浸潤していることが担癌ヒト組織に於いて初めて確認された。
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