2011 Fiscal Year Research-status Report
悪性黒色腫幹細胞の網羅的エピゲノム解析と新規分子標的の同定
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23791283
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 亜紀子 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10468093)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 悪性黒色腫 / 癌幹細胞 / エピジェネティック |
Research Abstract |
H23年度は悪性黒色腫細胞株において幹細胞様の性質をもつ細胞を同定するため、悪性黒色腫の幹細胞マーカーと報告されている抗体、色素を用いて、細胞を分離し、NOD-SCIDマウスに移植し腫瘍形成能について検討した。Hoechst色素を用いたFACS解析でSide Population(SP)細胞が認められたA2058メラノーマ細胞株について分離したSP細胞をNOD-SCIDマウスに移植し、Main Population(MP)細胞と腫瘍の増殖を比較したところ、すべてのマウスでSP細胞、MP細胞いずれも腫瘍を形成し、増殖にも差はみられなかった。次に、ABCB5抗体、CD271抗体を用いて同様の実験をおこなった。ABCB5抗体で陽性細胞がみられたAKIメラノーマ細胞株で、ABCB5陽性細胞と陰性細胞をNOD-SCIDマウスに移植をおこなったところ ABCB5陽性細胞では移植したすべてのマウスで腫瘍が生着し増殖がみられたが、ABCB5陰性細胞ではすべてのマウスにおいて腫瘍は生着しなかった。次にCD271抗体について陽性細胞がみられたWM266細胞株でCD271陽性細胞と陰性細胞をNOD-SCIDマウスに移植したところ、CD271陽性細胞もCD271陰性細胞もいずれもNOD-SCIDマウスに生着はみられた。移植細胞数が100細胞 ではCD271陽性細胞とCD271陰性細胞で増殖に差はみられなかったが、移植細胞数10細胞 ではCD271陽性細胞由来の腫瘍は陰性細胞由来の腫瘍にくらべ、増殖速度が速く、優位な差がみられた。これらの結果からAKIにおけるABCB5陽性細胞、WM266におけるCD271陽性細胞は腫瘍形成能が高い細胞集団であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H23年度は産前産後休暇の取得により実験計画がやや遅れました。
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Strategy for Future Research Activity |
H23年度の実験結果から、腫瘍形成能が高い傾向にあったABCB5陽性AKI細胞と、CD271陽性WM266細胞について、遺伝子発現アレイ, Methylated CpG Amplification microarray (MCAM)法、ChIP-sequence法を用いて、遺伝子の発現、DNAメチル化、ヒストン修飾について解析を行い、ABCB5陰性AKI細胞やCD271陰性WM266細胞、正常メラノサイトとの比較を行う。MCAM法およびChIP-seqence法で得られたメチル化情報を、癌幹細胞、非幹細胞で比較し、癌幹細胞で特異的にメチル化異常がある遺伝子を同定する。同定した遺伝子の中から幹細胞様の性質に関与すると考えられる遺伝子を絞り込む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マイクロアレイ、シークエンスキット、試薬、酵素の購入、学会発表の旅費に使用する予定です
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