2011 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症と自閉症スペクトラム障害の遺伝学的な共通性と特有性の解明
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23791312
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渡部 雄一郎 新潟大学, 保健管理本部, 講師 (90401744)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 自閉症 / マイクロRNA / リシークエンス |
Research Abstract |
マイクロRNA(miRNA)とはタンパク質をコードしない小分子RNAであり、統合失調症や自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorders, ASD)の病態におけるmiRNAの関与が注目されている。本研究の目的は、miRNA遺伝子に着目し、頻度はまれであるが相対危険度の高いリスク変異を同定することにより、両疾患の遺伝学的な共通性と特有性を明らかにすることである。 本研究は新潟大学医学部遺伝子倫理審査委員会の承認を得ており、対象者には研究について十分な説明を行い書面による同意を得た。対象は、精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-IV)により統合失調症と診断された患者600人とASDと診断された患者162人、精神疾患の既往と家族歴(第1度親族)のない対照者674人の計1,436人である。MIR137遺伝子を最有力の候補遺伝子として(Ripke et al., 2011; Willemsen et al., 2011)、PCR産物の直接シークエンス法によるリシークエンスを行った。 ASD162と対照674の計836サンプルのシークエンスを終えるとともに、統合失調症600サンプルを解析中である。MIR137遺伝子の上流に2つの一塩基多型(未報告)と1つの反復配列多型(Bemis et al., 2008)、下流に1つの一塩基多型rs150014880、計4つの変異を同定した。これらの変異とASDとの有意な関連は認められなかった。 反復配列多型は、MIR137遺伝子のすぐ上流に位置し、悪性黒色腫細胞系統においてmiR-137のプロセシングに影響を及ぼす機能的変異である(Bemis et al., 2008)。この変異を含めMIR137遺伝子が統合失調症やASDの発症脆弱性に関与している可能性を検証するため、さらにサンプル・サイズを拡大する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
X染色体上のmiRNA遺伝子をリシークエンスするための、PCRの条件設定がうまくいかなかったため。また、ゲノムワイド関連解析のメタ解析おいてMIR137遺伝子の一塩基多型と統合失調症との間に最も強い関連が示されたこと(Ripke et al., 2011)、MIR137遺伝子を含むコピー数多様性(欠失)がASD患者で同定されたことから(Willemsen et al., 2011)、MIR137遺伝子のリシークエンスを優先して行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
統合失調症患者、ASD患者、対照者のDNAサンプルをさらに収集するとともに、共同研究機関の協力を得て、大規模日本人サンプルについてmiRNA遺伝子をリシークエンスし、頻度はまれであるが相対危険度の高いリスク変異の同定を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
PCRの条件設定がうまくいかずmiRNA遺伝子のリシークエンスが当初の計画よりもやや遅れたため、平成23年度に未使用額が生じた。大規模サンプルを用いてmiRNA遺伝子のリシークエンスを行うためには、大量の試薬や消耗品などが必要であり、平成23年度未使用額と平成24年度研究費の大部分はこれにあてる。また、研究成果の学会発表や論文投稿に一部を使用する。
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