2011 Fiscal Year Research-status Report
中皮腫に特異的なDNAメチル化を標的とした胸膜悪性中皮腫の早期診断法の開発
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23791570
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
浅野 博昭 岡山大学, 大学病院, 助教 (70534775)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | マイクロRNA / 悪性中皮腫 / 早期診断 |
Research Abstract |
我々は,悪性胸膜中皮腫の85%において,マイクロRNA miR-34b/cのプロモーター領域にメチル化を認めたことを報告している.鋭敏なdigital PCRを用いて血清,胸水に含まれる微量なDNAからこのメチル化を検出できれは,悪性胸膜中皮腫の早期発見,病状の経過観察に有用と考えている.初年度は,(1) 血清から微量なDNAを効率よく採取する方法を検討し,(2) miR-34b/cのメチル化を最も効率よく検出するためのdigital PCRの最適化を行った. まず,血清DNA採取には,DNA回収量と回収したDNAの質が最も良好であったQIAamp Circulating Nucletic Acid Kit (QIAGEN)を使用した.血清1mlから120μl のDNA溶液を抽出し(抽出DNA中央値3.8ng (2~7ng)),そのうちの20μl を用いてEpitect Bisulfite Kit (QIAGEN)によりbisulfite処理を行い,40μlのbisulfite処理DNA溶液を得た.miR-34b/cプロモーター部位にメチル化があるH290細胞を陽性コントロールとし,H290培養液の上澄みからも微量なDNAを採取し,同様にbisulfite処理を行った. このbisulfite処理DNAを用いて各検体40 wellでメチル化特異的PCR法によりdigital PCRを行った.当初予定していたTaqMan probeを用いた方法では検出感度が低いことが判明し,CYBR Green法へ変更した.プライマーダイマーが問題となったため,melting curveのTm値にて評価することとし,H290細胞のTm平均値±3SD(78.2±0.6)をPCR陽性とした.現在,サンプル数は少ないが,この実験系により悪性中皮腫,良性石綿胸水,健常者の血清で測定を行なっている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたDNA採取キット,TaqManプライマーでは検出効率が悪く,上述のDNA採取キット,CYBR Green法へ変更を余儀なくされた.しかし,当初に立案した(1)血清より微量なDNAを採取でき,それをbisulfite処理し,(2)我々の作製したメチル化特異的プライマーによりdigital PCRが出来るという初年度の目標は達成できた.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も悪性中皮腫,良性石綿胸水,健常者の血清を用いてdigital PCRを行う予定である.最終的には悪性胸膜中皮腫患者50例,良性胸膜中皮腫患者25例,健常者25例を目標としてdigital PCRを施行し,各群の陽性well数をMann-Whitney検定で解析する予定である.現在のところ,1検体当たり40well中に陽性well数が3以上あるものをメチル化陽性と定義すると,悪性胸膜中皮腫群と非悪性胸膜中皮腫群の間で有意差が得られる見込みである.平成24-25年度も引き続き臨床検体の採取を行うと共に,再発のバイオマーカーとしての有用性,動物実験なども視野に入れて研究を進めて行く予定である.また,随時,本研究結果の学会発表,論文化も行なう予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,DNA採取キット,リアルタイムPCR用試薬,プレート,細胞培養試薬など消耗品の購入,また,論文作成費用,学会発表の交通費,宿泊費などを計上する見込みである.
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