2012 Fiscal Year Research-status Report
悪性神経膠腫におけるIDH遺伝子異常の生物学的意義の解明
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23791614
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
田中 雅樹 杏林大学, 医学部, 助教 (80531491)
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Keywords | 神経膠腫 / IDH1 / 遺伝子異常 / 治療感受性 / 造腫瘍性 |
Research Abstract |
1.神経膠腫の中で、IDH1遺伝子変異が高頻度に認められる乏突起膠腫系神経膠腫症例について、その変異の有無と、IDH1変異とともに診断的、治療上の両面より重要である他の遺伝子異常との関連性について検討した。2013年1月までの47例において、IDH1遺伝子の変異hot spotの直接sequencing、染色体1p/19qの共欠失の有無を、microsatellite (MS)解析ならびにFISH解析にて、またMGMT遺伝子プロモーター領域メチル化をMSP法で施行した。MS法では判定困難例が多かったのに対し、FISH法(現時点まで33例で施行)では共欠失26例、非共欠失7例であった。両者施行の19例では、8例で一致、4例で不一致、FISH法でより安定した結果が得られた。さらにIDH1変異は33例中20例で、MGMTプロモーターメチル化は47例中34例で陽性であった。これら3マーカー間には相関傾向がみられたが、IDH1-MGMT間が強い傾向であった。また、腫瘍の悪性度(grade)とMGMTメチル化は強い相関関係を認めた。 (Fisher直接法:Codel vs. IDH1 p=0.38, Codel vs. MGMT p=1.0, IDH1 vs. MGMT p=0.139, 腫瘍悪性度 vs. MGMT p=0.004) 2.その他の遺伝子異常、特にTP53変異、PTEN変異、EGFR変異について、MLPA法を用いた解析を施行しており、これらの変異とIDH1変異との関連について検討を加えて行く。 3.神経膠腫細胞株は昨年度の研究結果、全てにおいてIDH1遺伝子は野生型であることが明らかになっている。これらの細胞株の中で、ヌードマウスに対し造腫瘍性を示す複数の細胞株にIDH1 codon173変異遺伝子の導入を行い、導入された細胞株を樹立した。現在、各実験を継続進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当科で保管している神経膠腫腫瘍標本のうち、IDH1変異が重要な異議をもつ乏突起膠腫系腫瘍におけるIDH1変異と他の本腫瘍に関連する遺伝子解析を行い、比較検討することができた。IDH1変異を神経膠腫細胞株に導入することによる変異IDH1を発現するsublineの樹立は複数の細胞株に対して進行中であるが、確実な遺伝子導入が検証された細胞の樹立がまだ複数の細胞株では得られておらず、細胞実験が遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
変異IDH1発現細胞株を複数の細胞株に樹立する実験を早期に進める。樹立が困難な場合は、発現vectorを再度新規に作成する、或いは他研究室から供与を受けていくことも念頭に入れて進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.変異型IDH1遺伝子の導入がされた細胞株が樹立した後、その生物学的意義を検証する。抗癌剤治療(temozolomideなど)や細胞死を誘導するTRAIL,あるいはTRAIL受容体特異的モノクローナル抗体,その他EGFR阻害剤(AG1478),mTOR阻害剤 (Rapamycin)などの分子標的治療薬などによる治療を行い,その感受性に野生型IDH1, 2を示す親株細胞との差の有無につきMTTアッセイなどを用いて比較検討する。 2.感受性の変化が認められるIDH変異が確認されれば,変異型IDH1, 2の発現に伴う細胞内シグナル経路上の変化や遺伝子発現プロファイルの変化の有無について,親株と変異株のそれぞれにおいて蛋白抽出,mRNA抽出を行い,Western blotやRT-PCR, あるいはmicroarrayを用いた解析を検討し,治療感受性に及ぼす下流の因子解析を行う. 3.更に,変異型IDH1, 2の導入細胞をヌードマウスの皮下あるいは脳内に移植し,形成された移植腫瘍に対し,抗癌剤・分子標的治療薬による治療を行い,in vivoにおいても実際に治療効果に影響が出現するか否か,親株による移植腫瘍と比較検証する.また,その結果を腫瘍の病理検索も交え検討する。
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Research Products
(5 results)