2013 Fiscal Year Annual Research Report
miRNAによる骨軟部腫瘍の発生・進展における分子制御機構の解明
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23791627
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
木村 文子 東京医科歯科大学, 硬組織疾患ゲノムセンター, 特任助教 (30597232)
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Keywords | 骨軟部腫瘍 |
Research Abstract |
わが国において、癌は死亡原因の1位であり、癌の罹患率は右肩上がりで増加している。癌の中でも骨軟部腫瘍は特に良悪性の診断が難しく、至適の治療の方針すら見いだせない「癌の中の難病」である。また、肺癌、前立腺癌、乳癌等は骨転移を多発する癌であり、骨転移はこれら癌の予後の決定要因であるためその克服は喫緊の課題であるが、稀少癌種である骨軟部腫瘍は、臨床研究に多大な困難を伴うためその腫瘍化の分子機構の多くは不明であり、標準治療法も確立されていない。そこで本研究では、骨軟部腫瘍患者の切除組織標本を用いてmiRNAやその他の網羅的発現解析を行い、その病態生理的意義を解明することを目的とした。 骨軟部腫瘍切除組織標本を用いて網羅的発現解析を行った結果、腫瘍化組織と正常組織間で有意に発現の異なるmiRNA、遺伝子は見出せなかった。一方で骨軟部腫瘍細胞株における検討において、既存の癌関連遺伝子の強制発現あるいはノックダウンが増殖、遊走、浸潤に影響することを見出した。また、この遺伝子による制御が細胞周期関連遺伝子の発現調節を介すること、分化関連遺伝子の転写を調節していることを明らかにした。これらの検討により、腫瘍化、悪性化における新たな骨軟部腫瘍発生制御分子メカニズムを明らかにした。さらに、この遺伝子発現を誘導する既存の薬剤の有効性を検討したところ、骨軟部腫瘍細胞株においては増殖、遊走、浸潤の抑制が可能であることを見出した。
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