アデノシン三燐酸代謝に注目した変形性膝関節症の治療と進行度の予測

2013 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 23791642
• Research Institution: Shimane University
• Principal Investigator: 熊橋 伸之 島根大学, 医学部, 助教 (00457178)
• Keywords: アデノシン三燐酸 / 膝痛 / P2X受容体 / 変形性膝関節症 / 滑膜

Research Abstract

日本白色家兎を用いて膝OAモデルを作製後、分子量90万ヒアルロン酸(HA)、分子量600万HA、ATP P2X7 receptor blocker(oATP)、ATP P2X receptor blocker(TNP-ATP）、分子量90万HA＋oATPを左関節内にそれぞれ0.3ml関注（１回/週、５週間連続投与）、分子量600万ヒアルロン酸(HA) （１回/週、3週間連続投与）を左関節内注射し、右膝関節内にはコントロールとして生理食塩水を関注した。関節内注射後6週でsacrificeし、サフラニンO染色にて最荷重部の組織学的評価を行った。コントロール群において、全層の染色性が低下していた。oATP群、TNP群、分子量600万HA群においては全層の染色性が低下していた。分子量90万HA群、oATP＋分子量90万HA群においては、深層の染色性が保たれていた。
膝OA患者に対し人工膝関節置換術(TKA)を行ったOA群14名（男性１例、女性13例、平均年齢74歳）とコントロール群として前十字靭帯再建術後の抜釘患者2例、膝棚障害患者１例、半月板損傷患者1例の計4名（男性3例、女性1例、平均年齢27歳）の関節内の増殖した滑膜を術中に摘出した。疼痛に関与していると報告されているATP受容体であるP2X7受容体の発現の有無について免疫染色（Anti-P2RX7 body produced in Rabbit, Sigma, 1μg/ml）を用いて評価を行った。免疫染色結果は、OA群でP2X7受容体の発現を１４例中全例が陽性、そのうち３例が強陽性であった。一方コントロール群は４例中３例が陰性、１例が弱陽性であり、膝OA滑膜において有意にP2X7受容体が発現していた。