2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23791693
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
杉山 大介 信州大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (40467189)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 下行性痛み抑制系 / 青斑核 / ノルアドレナリン / in vivoパッチクランプ |
Research Abstract |
<ラット青斑核ノルアドレナリン細胞からのin vivoパッチクランプ記録の確立>本研究では,ラットを用いて青斑核神経細胞からin vivoパッチクランプ法を用いてシナプス応答を解析することにより,ノルアドレナリンによる下行性疼痛抑制系のメカニズムを解明することが目的である.本年度は脳幹青斑核からのin vivoパッチクランプ記録の方法確立をめざし実験を行った.その結果ラット脳幹青斑核神経細胞からのin vivo whole-cell記録に成功した.これまでに青斑核神経細胞からのin vivo whole cell記録の報告はなく、閾値下のシナプス応答は不明な点が多かったが,今回成功した方法を用いることにより,下行性疼痛抑制系におけるノルアドレナリン起始核である脳幹青斑核神経細胞のシナプス応答を詳細に検討し,下行性抑制系のメカニズムを解明することが可能となった.<In vivoパッチクランプ記録を用いて,青斑核ノルアドレナリン細胞の電気生理学的性質を解析>上記のとおり確立した脳幹青斑核からのin vivoパッチクランプ記録法を使用して,青斑核ノルアドレナリン細胞の電気生理学的特性を現在解析する実験を行っている段階である.これまでは細胞外記録などにより,活動電位の頻度からしか青斑核細胞の性質を解析できなかったが,今回の方法により閾値下の興奮性シナプス後電流や抑制性シナプス後電流を記録できており,より詳細な解析を行えそうである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請の際には(1)ラット青斑核ノルアドレナリン細胞からのin vivoパッチクランプ記録の確立.(2)In vivoパッチクランプ記録を用いて,青斑核ノルアドレナリン細胞の電気生理学的性質を解析する.(3)In vivoパッチクランプ記録を用いて,青斑核ノルアドレナリン細胞の機械刺激(触、ピンプリック、ピンチ)や熱刺激(温、冷)に対する反応を解析し、下行性疼痛抑制系のメカニズムを解析する.の3段階のステップで研究を遂行する予定を示した.上記のとおり現在研究は(2)の段階であり,研究は予定通り順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は上記研究遂行のステップのうち(3)In vivoパッチクランプ記録を用いて,青斑核ノルアドレナリン細胞の機械刺激(触、ピンプリック、ピンチ)や熱刺激(温、冷)に対する反応を解析し、下行性疼痛抑制系のメカニズムを解析する.に焦点を当てて実験を継続していく予定である.今年度の研究の進展により,脳幹青斑核からのin vivoパッチクランプ記録の成功率はかなり向上しており,この方法を利用した研究の推進と進展が可能であると考える.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は脳幹青斑核からのin vivoパッチクランプ記録確立のための実験を中心に行った.次年度より免疫組織学的検討や,脳幹の他部位への応用も予定しており,本年度研究費と合わせて使用する計画である.本年度の研究に際しては,新たな実験器具や薬剤の購入の必要が予定していたよりも少なく,当初の計画よりも安価に実験を行うことが可能であった.次年度に予定している研究では新たな試薬や抗体の購入を考えており,次年度使用額が生じた.
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