2011 Fiscal Year Research-status Report
脊髄虚血神経保護における抗炎症薬の臨床応用に関する研究
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23791707
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山下 敦生 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (50379971)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 脳・脊髄・神経 / 脊髄虚血 / 神経保護 |
Research Abstract |
胸腹部大動脈瘤手術後に生じる脊髄虚血(対麻痺)は、様々なモニタや術中管理の改良により減少傾向にあるものの、その発生を完全に防止できないのが現状である。特に近年、手術後遅発性に対麻痺が生じる割合が増加傾向で、その原因として術後発症した脊髄虚血(低灌流、塞栓などが原因)の他に、術中生じた虚血の病態進行による遅発性神経細胞死が考えられている。遅発性神経細胞死の機序として炎症反応の関与が示唆され、炎症性サイトカインの制御が脊髄虚血保護に働く可能性がある。今回抗TNF-α抗体(インフリキシマブ)を用いて脊髄虚血保護に有効か検討することとした。インフリキシマブは既に慢性関節リウマチの治療薬として市販されているため、臨床応用も比較的容易である。しかしインフリキシマブは免疫系に影響を与えるため、手術前後の使用を前提にする場合、その安全性の確立は非常に重要である。平成23年度は、当初の予定通りインフリキシマブ投与の安全性について検討した。家兎(2.5kg)にインフリキシマブ 1、3、5、10mg/kg(臨床投与量3~5mg/kg)を各1羽ずつ投与し2週間飼育し、活動性、摂食状況、排泄、血液生化学検査(薬剤投与2週間後)を観察した。また、手術の影響も考慮するため脊髄虚血のみ行わないsham手術中にインフリキシマブ 1、3、5、10mg/kgを投与したものも1羽ずつ行い、2週間観察した。活動性、摂食状況、排泄、血液生化学検査に関して、いずれも特に異常はみられなかった。創治癒は多少影響が生じる可能性が考えられた。創治癒に関しては虚血実験を行いながら、更なる検討を行う計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、当初の予定通りインフリキシマブ投与の安全性について検討できており、おおむね順調に進行出来ているから。
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Strategy for Future Research Activity |
抗TNF-α抗体(インフリキシマブ)投与による脊髄虚血保護効果の検討を家兎の脊髄虚血モデルを用いて行う。生理食塩水投与群をコントロールとして薬剤投与群と比較する。経時的な神経学的所見(後肢運動機能、感覚機能)を観察した後、再灌流後7日目に灌流固定を行い、病理組織学的検討を行う。また、薬剤の有効性と作用機序の判断のため、脊髄組織標本の免疫染色によるミクログリアの活動性評価を併せて行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度において、研究内容の助言に対する謝礼や通信費が予算として計上していたほど必要でなかったため、57,805円の未使用額が発生した。平成24年度予算1,100,000円と合わせて1,157,805円を、インフリキシマブ投与による脊髄虚血保護実験に使用する。家兎(1万円/羽×24羽)やインフリキシマブ(10万円/本×6本)や麻酔薬、消毒剤、家兎飼育費、組織標本代に使用する。また、研究内容報告のための学会旅費にも一部使用予定である。平成23年度未使用額の57,805円は薬品代や実験動物の飼育費の補てんに用いる予定である。
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