2012 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜癌におけるステロイドサルファターゼ阻害剤を用いた新たな内分泌療法の確立
Project/Area Number |
23791802
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
志賀 尚美 東北大学, 大学病院, 助教 (20595558)
|
Keywords | 子宮内膜癌 / スルファターゼ経路 / STS阻害剤 / 癌局所微小環境 / 共培養 / アロマターゼ阻害剤 |
Research Abstract |
子宮内膜癌はエストロゲン依存性腫瘍である。子宮内膜癌局所におけるスルファターゼ経路に着目し、その経路による局エストロゲン産生機構を解明しSTS阻害剤の有用性を検討することを目的に研究を行った。 本年度はまず始めに代表的な子宮内膜癌細胞株であるIshikawaを用いて、子宮内膜癌局所の微小環境を再現するため子宮内膜癌細胞株と間質細胞を共培養し、ステロイドサルファターゼ(STS)およびエストロゲンスルフォトランスフェラーゼ(EST)発現を単独培養と比較検討した。次に、基質であるE1SやDHEASを添加し細胞増殖が引き起こされるか、さらにSTS阻害剤およびアロマターゼ阻害剤による細胞増殖抑制効果を比較検討した。 単独培養に比較し共培養ではSTSおよびERの発現は有意に上昇した。さらに、産生されたエストロゲンやアンドロステンジオール量も共培養では有意に上昇していた。次に、エストロゲンの基質を添加したところ細胞増殖能は有意に上昇し、さらにSTS阻害剤およびアロマターゼ阻害剤により細胞増殖抑制効果を認められた。また、両阻害剤間で抑制効果に差はなかった。 以上より、上皮と間質との間で何らかのinteraction があるものと推察され、共培養下におけるSTS阻害剤が子宮内膜癌に対する有効な新規内分泌治療になりうると考えられた。 今後、STSの発現が異なる細胞株を使用して同様の検討を行い、STS発現の有無による治療効果を比較検討する予定である。そして、最終的にはSTS阻害剤が有用である症例の選別に繋げていきたいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部仮説と異なる展開があったが、おおむね研究計画通りに進んでおり、現在論文投稿に向けた最終実験に取りかかっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
STSの発現が異なる細胞株を使用して同様の検討を行い、STS、EST、およびERなどの発現の有無による治療効果を比較検討する。そして、STS阻害剤が有用である症例の選別に繋げていきtailor madeな内分泌治療法を確立していきたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額と合わせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
|
Research Products
(5 results)