2012 Fiscal Year Annual Research Report
“高脂肪栄養環境”が次世代に与える影響―エピジェネティクスの視点から
Project/Area Number |
23791830
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Research Institution | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
Principal Investigator |
梅川 孝 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (80422864)
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Keywords | 高脂肪栄養 / 胎児プログラミング / 生活習慣病 / 脂肪 / 母乳 |
Research Abstract |
【目的】母体の高脂肪食摂取が次世代に与える影響について明らかにする。 検討1:妊娠時高脂肪餌負荷【方法】雌性マウス(C57BL/6N)に脂肪エネルギー比率45%の高脂肪餌(以下H)または同比率10%のコントロール餌(以下C)を6週間与え雄性マウスと交配し、分娩まで同じ餌を継続した。仔は3週齢で離乳後、Cで飼育し母獣の餌によりそれぞれHC群とCC群とに分け、雄性仔を対象として成獣期(21-28週齢)の血圧および糖脂質代謝を検討した。【成績】 仔の体重は両群間に差を認めなかった。成獣期においてHC群で耐糖能の有意な悪化を認めた。HC群において24時間絶食後再摂食時の血中遊離脂肪酸値、トリグリセリド値において有意な高値を認めた。血中アディポネクチン値はHC群で有意な低値を認め、腸間膜脂肪細胞における細胞1個当たりの面積がHC群において有意に増大していた。 検討2:授乳期高脂肪餌負荷【方法】分娩後2-21日の母獣に対してHまたはCを与え、仔マウスの体重変化及び体脂肪量、血糖値、血中インスリン値等を測定した。【成績】出産14日目の母乳中の含有脂肪酸量やコレステロール量には影響しなかったが、脂肪酸組成には変化を認めた。特にC18長鎖脂肪酸量の増加が認められた。授乳期の仔マウスの成長において、H群において体重増加や皮下脂肪量、内臓及び生殖器周囲脂肪量の増加を認めた。一方、出産21日目の仔マウスの血糖や血中インスリン値に変化は認められなかった。 【結論】妊娠時および授乳期のいずれにおいても母体の脂質摂取量増加は、 仔の脂肪細胞の形態あるいは脂肪量に影響を与えることが明らかとなった。また、妊娠母獣の脂質摂取量増加は成獣期における仔の糖脂質代謝の悪化と関連することが明らかになった。今後は、授乳期の脂質摂取量増加が仔マウスの成長へ与える影響について詳細な検討を行う予定である。
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