2012 Fiscal Year Annual Research Report
スギ花粉症初期療法が鼻粘膜ヒスタミンH1受容体発現に及ぼす効果と機序に関する研究
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23791912
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
牧瀬 高穂 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (30585120)
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Keywords | アレルギー性鼻炎 / スギ花粉症 / ヒスタミンH1受容体 / 鼻過敏症 |
Research Abstract |
スギ花粉症に対する治療方法の一つに初期療法がある。スギ花粉飛散開始前に治療を開始する初期療法が有用であることは周知の事実となっているが、そのメカニズムや治療開始時期については不明な点が多い。スギ花粉症を含めたアレルギー性鼻炎において、症状発現の中心的役割を担っているのは、主に肥満細胞から放出されるヒスタミンとその受容体であるヒスタミンH1受容体である。我々は、初期療法が有効である一因として鼻粘膜のヒスタミン受容体発現の変化に着目し研究を行っている。平成24年のスギ花粉飛散時期に初期療法を施行した対象者から鼻粘膜擦過細胞を採取し、鼻粘膜擦過細胞に発現しているヒスタミンH1受容体mRNAの発現量を測定し、比較検討を行った。その結果、初期療法を施行することで鼻粘膜擦過細胞中のヒスタミンH1受容体mRNAの発現量は有意に低下することが確認された。また、スギ花粉飛散開始前の鼻粘膜擦過細胞中のヒスタミンH1受容体mRNA発現量と、スギ花粉飛散時期の鼻症状に、正の相関関係があることを見出した。これらの結果から、スギ花粉症患者に対し、初期療法が有用であることの一因として、鼻粘膜に発現しているヒスタミンH1受容体の発現量変化が関与している可能性が示唆された。また、スギ花粉症モデルマウスの作成について、スギ花粉エキスを経腹腔投与もしくは経鼻投与を反復することで、くしゃみや鼻掻きの鼻症状を有意に誘導し、血清中スギ花粉特異的IgEが賛成されることを確認した。また、ヒト鼻粘膜上皮培養細胞にヒスタミン受容体が発現していることを確認できた。
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