2011 Fiscal Year Research-status Report
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23792055
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
坂本 好昭 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10464835)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 肥厚性瘢痕 |
Research Abstract |
申請者は独自の骨延長術のデバイス(Sakamoto et al. J Craniofac Surg. 2010)をマウスに適用し、新規マウス皮膚持続的張力負荷モデルを確立した。このモデルにより、再現性の高い定量的な張力を皮膚に負荷することが可能であることが判っている。 申請者のグループはヒトケロイド・肥厚性瘢痕においてCD4陽性T細胞の分布(自己免疫疾患類似の傾向)が認められることを見出しているが、ここまでの結果でモデルマウスにおいてもCD4陽性T細胞の発現が認められた。またCD31、LYVE-1染色などにより、組織血管・リンパ管新生を評価する。これまで申請者は、メカニズムは不明であるが肥厚性瘢痕部位にリンパ管が著明に増加することを見出した。今後、この詳細なメカニズム、特にT細胞サブセットとの相関関係の有無についても検討する必要がある。 さらに伸展刺激を与えた皮膚の組織学的解析において、真皮線維芽細胞だけではなく表皮細胞にも張力応答反応が存在するという、これまでの皮膚張力応答メカニズムの理解に関して全く新しい知見を示唆する所見を得ることができた。具体的には、持続的張力負荷により、表皮細胞は著しい過形成を起こす。真皮内筋線維芽細胞が抗張力を発揮すべく張力と同方向に走行するのと対照的に、表皮構造は垂直方向に成長していくという興味深い所見である。そして動脈平滑筋細胞などが張力に応じて発現するSmooth muscle actin (SMA)が、真皮筋線維芽細胞のみならず、表皮細胞にも強く発現する。また、このSMAの発現は表皮基底層より上層、つまり終末分化に近い表皮細胞(Keratin5陰性)で強く発現していることがわかった。これらの知見は真皮線維芽細胞だけではなく表皮細胞にも張力応答反応が存在することを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトケロイド・肥厚性瘢痕において認められたCD4陽性T細胞の分布(自己免疫疾患類似の傾向)が、肥厚せ瘢痕モデルマウスでも認められるかどうか、またそれらとともに起きている他の変化について検討することが初年度の目標であり、それらは十分に達成できていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
肥厚性瘢痕部位に著明に増加すリンパ管と、T細胞サブセットとの相関関係の有無についての検討や各種ケミカルメディエーターの肥厚性瘢痕モデルにおける機能について解析する。着目するケミカルメディエーターを特異的に阻害する化合物、中和抗体などにつき(1)肥厚性瘢痕形成過程に投与することで肥厚性瘢痕形成に影響がみられるかどうか、(2)肥厚性瘢痕形成後に投与すると肥厚性瘢痕は変化するか、の2点につき検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
薬剤投与による肥厚性瘢痕形成への影響を検討するために引き続き、モデルマウスの解析を行う。またこれまでの研究成果に対して、学会発表や英文雑誌への投稿を行っていく。
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Research Products
(2 results)