2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23792055
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
坂本 好昭 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10464835)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 肥厚性瘢痕 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究成果をもとに、細胞の応答メカニズムと各種ケミカルメディエーターの肥厚性瘢痕モデルにおける機能についての解析を行った。これまでにマウスでのモデル動物の作製に成功していたが、前年度にヒトの皮膚構造に近いブタに対して、伸展刺激を加えることにより、あらたなモデル動物の作製に成功している。本モデルに対しても検討を行った結果、瘢痕の厚さに依存して、connective tissue growth factorの濃度が上昇することが確認できた。また表皮基底層より上層の終末分化に近い細胞でsmooth muscle actionの発現を見出した。さらには tissue inhibitor of metalloproteinases(TIMP2)の有意な低下を認めた。こうしたTIMP2の低下している部分ではcollagenの発現を認めた。そこでTIMP2を投与して持続負荷モデルを作成したところ、collagenの発現は抑制された。 またCD3陽性細胞の発現を認めたために、CD3細胞に発現しているTh阻害剤であるスプラタストトシル酸塩の経口投与を4週間行い、肥厚性瘢痕が軽快するか否かを形態的、組織学的に検討した。その結果、TIMP2の低下は認められず、これまでのモデルマウスよりも明らかに発赤、肥厚の軽度な瘢痕が形成され、これらが肥厚性瘢痕の形成に関与していることが示唆された。 以上の結果は、喘息薬として使用されているスプラタストトシル酸塩の新たな臨床応用とscarless wound healingに向けた糸口になると思われる。
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