2011 Fiscal Year Research-status Report
新規αリポ酸誘導体を用いた敗血症に対する抗酸化療法の開発
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23792076
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
古賀 寛教 大分大学, 医学部, 助教 (50468013)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 敗血症 / 酸化ストレス / ラジカル |
Research Abstract |
本研究の目的は、LPS誘発全身性炎症反応モデルにおいて、αリポ酸誘導体の一つであるDHLH-Znが有効であるか否かについて検討することである。また、近年、抗酸化作用を持つ物質の抗炎症作用がいくつか報告されてきており、各種病態における、炎症と酸化ストレスのクロストークが論じられてきている。そこで、今回、当該物質が抗炎症作用を呈するメカニズムを、酸化ストレスという観点から検証し、臨床応用を視野に入れた可能性を模索する。 23年度では、適切な急性炎症モデルの確立と、αリポ酸誘導体を投与しないコントロール群の各種パラメーターの変動をとらえることが、主たる作業となった。具体的には、LPSモデルおよび盲腸結紮モデルにおける敗血症モデルを作成し、血清中のNOx、サイトカイン量の測定、各種臓器における組織学的変化を解析した。 また、全身性炎症反応における酸化ストレスの評価および薬剤投与による治療介入による、体内抗酸化能を客観的に測定するために、 ESR (電子スピン共鳴) 装置を用いる予定であるが、従来法を改良したラジカル消去能の検討方法を模索しているところである。従来の人工的に発生させたヒドロキシルラジカルの消去能だけでなく、各種ラジカルに対する消去能を多角的に検証する手法が近年報告され、本研究においてもその手法の確立を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血清中のラジカル消去能の変動をESRを用いて経時的に解析する手法は、比較的新しい手法である。機器のセッティング、ラジカル捕捉感度、スピントラップ剤の用量など、多くのパラメーターを、本研究目的に合わせた設定にすることは、容易ではない。23年度の研究によって、その条件設定を決定しつつあり、今後の実験モデルを用いた測定に向けた大きな進展であったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ESR測定プロトコールにおいて、flow injection システムを用いた、より厳密で精度の高い測定法の確立を行う。 さらに、実際に当該物質を生体内投与し、これまで我々が行い発表してきた投与法(皮下、静脈内)を用い、治療的効果を評価するとともに、物質の臓器移行性、臓器障害を検討し、安全性の実証を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度も、プロトコールの確定、動物実験を用いた各種パラメータの測定は必須であり、引き続き測定キット、実験動物、試薬(スピントラップ剤を含む)に費用を費やす予定となる。
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