2012 Fiscal Year Research-status Report
歯髄象牙芽細胞複合体における痛覚の発生メカニズムの解析
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23792178
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
達山 祥子 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (70347095)
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Keywords | 象牙芽細胞 / 歯随細胞 / VR-1 / TRPV88 / 温度感受性イオンチャンネル / 象牙質歯随複合体 |
Research Abstract |
象牙質知覚過敏症において、動水力学説が現在最も広く受け入れられているが、この説だけでは十分に説明できない部分も残っている。 最近では、象牙芽細胞自身が感覚受容細胞としての機能を持ち、外部からの刺激を痛覚神経繊維に伝えるという象牙芽細胞受容器説が研究されつつある。 求心性の感覚神経には6つの温度感受性イオンチャンネルがあり、それらは異なる温度帯を閾値としている。熱刺激を感受するものではVR-1(>43℃)、冷刺激を感受するものではTRPM8(<25℃)があげられる。われわれは、これまでに1)VR-1がヒト歯随細胞において発現すること、2)温熱刺激によりVR-1が活性化し、歯髄炎を増悪する可能性があること、3)TRPM8が歯随細胞、象牙芽細胞に発現すること、4)ラット歯随の横断薄切標本におけるTRPM8の発現することを確認してきた。また、TRPM8の機能について検討するために、擬似的な冷刺激メントールで歯随細胞、象牙芽細胞を刺激し実験を行った結果、 熱による刺激で発現し細胞を保護するとされるヒートショック蛋白(HSP70、HSP27)の発現の増加は特に認められなかったため、歯における温度刺激の引き起こす痛みに対するこれら蛋白の関与は否定された。しかし、TRPM8が発現していることから、歯髄・象牙芽細胞が温度刺激に反応すること、知覚過敏症においてなんらかの役割を担っていることは否定できない。 今年度は、温度感受性イオンチャンネル以外の侵害刺激(浸透圧や機械的ストレス)に対するイオンチャンネル(TRPV2,TRPV4,TRPM3等)についての発現をRT-PCR等にて解析し、歯髄細胞、象牙芽細胞が温度以外のどのような痛みに関与しているかを検索した。 今後さらにこれらの蛋白の発現の確認や、その機能の解析を行っていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画にある歯髄・象牙芽細胞複合体における侵害刺激(温度・浸透圧・機械的ストレス)の受容体の発現を解析するために、RT-PCRにて各種受容体の発現を検索を行うところまで実験を進めているが、H25年2月より産休等により実験を中断しており、免疫染色や機能解析などの実験まで進むことができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、産休・育児休暇で実験を中断するが、再来年度は今年度できなかった免疫染色によるタンパクの発現の解析、カルシウム流入試験によるチャネルの機能の解析などを進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
来年度は、産休・育児休暇により中断のため執行しない。 再来年度より、再開予定である。
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