2012 Fiscal Year Annual Research Report
無歯顎者の義歯装着による嚥下時の呼吸パターンの時間的検討
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23792238
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
加地 彰人 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40550009)
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Keywords | 摂食・嚥下リハビリテーション |
Research Abstract |
本研究の目的は,近年増加傾向にある肺炎を起こす原因である誤嚥を防止する観点から無歯顎者の嚥下時の咀嚼関連筋の活動と呼吸パターンとの関係を明らかにすることにあり,義歯装着時と非装着時における嚥下時の無呼吸,呼気相,吸気相の発現パターンの違いについて嚥下関連筋の活動,喉頭運動との関係で比較検討することである. 平成23・24年度に実施した研究の成果については,以下に示すとおりである. 有歯顎者において構築された嚥下関連筋群と喉頭運動および呼吸運動の同時計測のシステムを用いて,高齢無歯顎者での計測システムの構築および解析を行った.筋電図計測は,口輪筋および舌骨上筋群を対象に,表面電極を用いて,原波形とともに平均値積分により得たエンベロープ波形を記録する.喉頭運動に関しては,筋活動の時間的要素の分析基準とするため,呼吸については,嚥下時の呼吸相の指標とするために,小型サーミスタを用いて鼻孔部の温度変化で計測・記録する.以上の計測データは同期・計測しており,各種アンプにより増幅して記録する.上記の計測システムにて,健常無歯顎者10名を対象に,被験食品は,水(5, 10 ,20 ml),半固形食品としてエンゲリード(10 g),固形食品としてクッキー(4 g)とし,義歯あり・なしの条件で,各被験食品をそれぞれ3回ずつ嚥下することとした. 結果・データ解析については,嚥下時の呼吸パターンにおいて,有歯顎者において観察されなかった吸息ー嚥下ー吸息パターンの出現が,高齢者の義歯を装着しない状況で認められ,義歯非装着が誤嚥のリスクファクターとなること,適正な下顎位における嚥下が呼吸パターンを正常に保っている可能性が示唆された.また,高齢者では,嚥下時の無呼吸時間の延長が認められ,これによっても,高齢者では嚥下時の呼吸の調節を行っていることが考えられた.
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Research Products
(3 results)