2012 Fiscal Year Annual Research Report
硬組織形成を誘導し、直接結合可能な高機能レジンの開発
Project/Area Number |
23792268
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中塚 愛 北海道大学, 大学病院, 医員 (00547648)
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Keywords | レジン / 生体活性材料 / 硬組織誘導 |
Research Abstract |
本研究は、4-META/MMA-TBBレジン(SB)に生体活性を有する材料を加えて複合化することにより、歯や人工材料、骨に接着すると同時に、硬化したレジン表面に硬組織の形成を誘導し、さらに新生硬組織が直接結合可能なレジンを開発することを目的とした。 SBのポリマー粉末に混合する生体活性材料として、炭酸カルシウム、β-TCP、α-TCP粉末を濃度を変えて評価したところ、カルシウムイオンが溶出し、必要な強度が得られたα-TCP40%、60%と炭酸カルシウム40%、60%が適当と考えられた。 そこで0、40、60%の炭酸カルシウム、α-TCPを混合したSBを硬化させ、ラット下肢大腿骨に移植し、試料表面への硬組織形成、試料と新生硬組織間の軟組織の幅を評価した。その結果、炭酸カルシウム含有レジンがα-TCP含有レジンより、介在する軟組織が少なく、試料と硬組織の接触率が高いことが示された。また、濃度が高くなるに従い、接触率は向上した。 さらに、ビーグル犬前小臼歯部に裂開状の骨欠損を作製し根面を露出させ、セメント質を除去した。0、40、60%の炭酸カルシウムを混合したSBを薄い円盤状(直径約1mm)に硬化させ、作製した試料を、同濃度の炭酸カルシウムを混合したSBを用いて根面に接着した。試料表面への硬組織形成状態を評価した結果、0%では8週後でも試料表面に硬組織は認められなかったが、40%、60%では硬組織の形成が認められ、試料全体を覆っているものも観察された。また、40%より60%の方が、試料と新生硬組織の直接接している部分が多く、また、介在する軟組織の幅も狭かった。 以上より、4-META/MMA-TBBレジンに60%炭酸カルシウムを混合すると、物性を維持しながらレジン表面に硬組織の形成を誘導できる可能性が示唆された。さらに効率よく誘導できるように増殖因子との併用も検討している。
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Research Products
(3 results)