2011 Fiscal Year Research-status Report
遺伝的アルゴリズムを用いたBMP-2共活性無機元素複合薬の開発と評価
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23792272
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
本田 義知 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (90547259)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 最適化 / 骨 |
Research Abstract |
潜在的に強力な骨形成能を持つBone morphogenic protein 2 (BMP-2) は骨再生療法の切り札として期待され、広く応用が検討されている。しかし、臨床応用には非現実的な程大量のBMP-2を必要とし、未だ広く普及するに至ってない。本研究は、生物実験と、遺伝的アルゴリズム(システム工学)を組み合わせたFeed back system control (FSCD)を駆使し、数限りない組み合わせが考えうる複数の外的因子(無機元素など)を最適に混合し、最小限のBMP-2量で、最大限の骨芽細胞分化誘導能を引き出す、共活性複合薬創生の基礎を築くことを目的としている。FSCDは新規技術であるため、骨芽細胞分化誘導への応用方法は未だ確立されておらず、慎重な実験が求められる。申請段階では、実験期間の短縮の観点から初期骨分化マーカーとして知られる初期ALPを適応度として使用する事を検討していたものの、その後の検討により同マーカーは複合薬探索に適していない可能性が明らかとなった。従って、本年度は予備実験条件を再度利用し、最終的な骨形成マーカーである石灰化度とALPを用いた場合との比較検討を行った。その結果、ALPを用いて同定した複合薬は、初期分化は強く誘導するものの、石灰化をいずれも形成しなかった。さらに、組成を精査すると、複合薬に含まれるレチノイン酸が総じて最大濃度をとるなど、バイオマーカーによっては一つの試薬に大きく結果を左右される場合がある事が明らかとなった。一方、石灰化度をバイオマーカーとして使用した場合、石灰化を促すだけでなく、他の骨芽細胞分化マーカーも促進する有望な複合薬の探索が可能である事が明らかとなった。同研究結果は、国際学会のアメリカ骨代謝学会とMHS2011、国内学会の歯科理工学会において発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、本研究の核となるFeed back system control実験条件の再検討が急遽必要となった。申請書に記載していたALPに代わり石灰化を指標として新たなFeed back system controlの可否を再検討した事から、予定していた到達目標には到達していない。しかしながら、今回の徹底した予備的検討により、Feed back system controlの安定した実験系の一部が解明されたことから、同実験の基盤的知見探索に貢献しており、他の研究への汎用にも道を開いたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の予備的検討の結果を踏まえ、ALPを石灰化度に置き換え、申請書に乗っ取った実験を再開する。主な実験手順としては、(1) BMP-2共活性無機元素複合薬の調整方法の開発、(2) Feedback system controlを用いた無機元素複合薬の最適化(ALP実験を石灰化実験へ変更)、(3) 無機元素複合薬の多用途性テスト、(4) BMP-2共活性無機元素複合薬のシステムとしての骨芽細胞分化誘導経路の解明、を遂行する予定である。しかしながら、予備的検討に1年を要した事、さらに、ALPに比べ石灰化実験は2-3倍時間を必要とする事を勘案すると、(3)、(4)までの実験遂行は困難である可能性も推測される。従って、次年度では、研究目標を変更し、(2)までのしっかりした実験遂行を到達目標とする事も進行状況によっては考慮する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、Feed back system control実験条件の再確立が急遽必要であった。同実験には、過去の研究において購入した試薬の使用が可能であったことから、本年度で計画していた試薬群や、高価なBMP2、海外での打ち合わせ等に予算を使う必要性を生じなかった。しかしながら、今回の予備的検討で安定したFeed back system controlの遂行が可能となった事から、次年度は申請書に乗っ取って本年度分の研究を含めた実験を遂行する予定である。
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