2012 Fiscal Year Research-status Report
イメージ連成バイオメカニクスを応用したインプラント治療における力学的安全性の保証
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23792285
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
丸山 浩美 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50359981)
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Keywords | 歯科インプラント学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、イメージ連成バイオメカニクスの技術を応用して、インプラント治療における力学的安全性を保証するための術前評価システムを構築し、そのルーティン化を図ることにある。平成24年度の研究実施計画は、インプラント臨床における様々な疑問点や問題点を解決するために、それぞれの問題の解決に適したモデリングおよび解析手法を確立することである。今年度は、臨床的問題の中で特に重要と考えられるアバットメントスクリューのゆるみに焦点を当て、スクリューのねじ山螺旋構造の高精度モデリングとねじり荷重(トルク)を導入した解析手法の確立を目指した。まず、汎用CAEソフト(SolidWorks)によりフィクスチャー、アバットメントならびにアバットメントスクリューの外形状を忠実に再現した。本過程において問題となるのは、これまで同心円の積み重ねとして表現されてきたアバトメントスクリューのねじ部を螺旋構造として表現することと、スクリューのねじ部とフィクスチャーのねじ穴との接触関係を定義することである。前者はスパイラルカーブをガイドとしてねじ山の断面をスイープすることにより、後者はねじ山のアバットメント側を接触面とし対側を非接触面とした形状を作成し、接触判定許容値を試行しながら接触解析を実行することにより対応した。メッシュ生成は整合性のとれた六面体要素が四面体要素より計算精度が高いことを考慮して、整合性がとれたパラメトリックソリッドへの分割後に六面体要素で分割した。フィクスチャー下部を拘束し、スクリューヘッドに25 Ncmのトルク荷重を与えた。アバットメントスクリューは締結時、引張状態にあるため最大主応力を評価したところ、スレッドの一部に極端な応力集中を認め,接触解析における各種パラメータの試行的設定およびメッシュの再分割等が必要であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ねじの嵌め合いを考慮した接触解析は、非常に複雑な現象を扱う解析であり、非線形解析パラメータの試行的設定が必要であるため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの達成度としては、やや遅れているが主要設備となるソフトウェア(Mechanical Finder;計算力学センター)を中心とした解析手法の構築は、ほぼ完了した。平成25年度は、24年度に引き続きインプラント臨床における様々な疑問点や問題点を解決するために、それぞれの問題の解決に適したモデリングおよび解析手法を確立する予定である。次年度も引き続き技術サポートを生かしながら、本研究を推進する予定であるが、有限要素法の理論部分(特に接触解析に必要なパラメータの設定法や結果の評価とその解釈の仕方)については、工学系の専門教官にもアドバイスを受け、研究を推進する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度分の研究実施計画のうちの有限要素モデリングについて、当初計画よりも効率的かつ高精度でのモデリングを可能にするため、使用ソフトウェア(Mechanical Finder;計算力学センター)の技術サポートを導入する必要が生じた。同ソフトウェアは本研究計画の主たる設備に位置づけられるものであり、初年度において当初計画より効率的かつ高精度なモデリングならびに解析手法を確立しておくことは、平成24年度以降の研究内容の質の向上に有益であるため、前倒し支払請求を行った。本ソフトウェアを用いたモデリングならびに解析は、平成24,25年度中においても、その研究実施計画のうち極めて重要な位置を占め、引き続き行う必要があり、平成24年度以降に請求する金額は減るものの研究遂行上は大きな問題はなく、概ね当初の使用計画に沿った研究費の執行を予定している。
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