2011 Fiscal Year Research-status Report
脱分化脂肪細胞を用いたハイブリッド型人工神経による末梢神経再生
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23792397
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
安東 佳代子 (橋本 佳代子) 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (10388366)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 脱分化脂肪細胞 / 組織工学 |
Research Abstract |
交付申請書作製段階では脱分化脂肪細胞(dedifferentiated fat cells: DFAT cells)を用いた末梢神経再生に取り組む予定であったが,実験内容を一部変更し,DFAT cellsを用いた骨組織再生の研究に従事した. ウサギの皮下脂肪を採取し,天井培養法によりDFAT cellsを作製した.細胞培養用スキャフォールドであるtitanium fiber mesh(TFM)8個とDFAT cells懸濁液(1000万cells/ mL)1mLを13mL蓋付きチューブ内に入れ,吸引脱気操作によりTFM内にDFAT cellsを播種した(DFAT/ TFM複合体).DFAT/ TFM複合体を骨分化誘導培地(DMEM + 10% FBS,デキサメタゾン,L-アスコルビン酸2リン酸,β-グリセロリン酸)で14日間培養し,DNA,オステオカルシン,カルシウム発現量の測定を行った.またDFAT/ TFM複合体の内部を走査型電子顕微鏡を用いて観察した. 培養開始から細胞数の指標であるDNA量は徐々に増加し,7日目おいて1日目と比較して有意に高い値となった(p < 0.05).また骨芽細胞分化マーカーであるオステオカルシン,カルシウム発現量は14日目において他の培養日数群に比較して有意に高い値となった(p < 0.01).走査型電子顕微鏡を用いた観察の結果,DFAT cellsはTFMのチタン繊維上で接着,増殖し,培養開始14日目においてチタン線維周囲に石灰化マトリックスの析出が認められた. 以上の結果よりDFATはTFM内で増殖し,また骨芽細胞分化マーカーの上昇を認めたことより骨芽細胞へ分化することが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載したとおり,脱分化脂肪細胞(dedifferentiated fat cells: DFAT cells)の作製には成功したが,再生の標的器官を末梢神経から骨組織に変更したため,平成23年度中に予定していたDFAT cellsが神経系マーカーを発現しているかどうかの評価は行えていない.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究結果から脱分化脂肪細胞(dedifferentiated fat cells: DFAT cells)の3次元培養における有用性が明らかになった.平成24年度も引き続きDFAT cellsを用いた骨組織工学の研究は継続しつつ,末梢神経再生に向けたDFAT cellsの神経系マーカーの発現に関する研究を進めていく予定である.具体的には培養したDFAT cellsからRNAを抽出し,逆転写を行い,cDNAを作製する.リアルタイムPCR法を用いて神経幹細胞マーカーであるnestin,ニューロンのマーカーであるβIIItublin,星状膠細胞のマーカーであるGFAPの発現を評価する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は主に実験動物とその飼育代,細胞培養用試薬(培養液,血清,成長因子など),細胞培養用消耗器具(ピペット,フラスコ,遠心管など),分子生物学実験試薬(PCR試薬など)の購入に充てる予定である.また実験結果から得られた知見を専門学会で発表する際の,学会参加費,旅費なども研究費から支出する.
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Research Products
(2 results)