2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23792413
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮島 悠旗 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30583372)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 金属ガラス / 生体材料 / 矯正用ミニスクリュー |
Research Abstract |
Zr70Ni16Cu6Al8金属ガラスの機械的性質と同金属ガラス上での骨髄間葉細胞の骨分化能について、現在金属系生体材料として使用されているチタンのうち2種純チタンと比較、検討した。その結果Zr70Ni16Cu6Al8金属ガラスは高強度、低弾性率、高耐食性であることが明らかとなり生体材料として有用であることが示唆された。Zr70Ni16Cu6Al8金属ガラス上の骨髄間葉細胞における骨分化能の解析ではアルカリフォスファターゼ(ALP)活性の上昇が示され、この結果は2種純チタンとの比較において同程度であった。また、骨分化マーカーであるRunx2、ALP、オステオカルシン(OCN)のmRNAの発現において2種純チタンと同等に上昇することが示された。さらにZr70Ni16Cu6Al8金属ガラス上にヒト歯根未完成歯歯髄細胞を播種して骨分化能を解析したところ、ALP活性値が上昇し、アリザリンレッド染色の染色性が示された。これらのin vitroの結果からZr70Ni16Cu6Al8金属ガラスが矯正用ミニスクリューに必要とされる機械的強度と低ヤング率を有し、細胞への毒性が低く細胞親和性を有することが示され、新たな生体材料となる可能性が示唆された。一方in vivoのでは、ビーグル犬2頭を用いて金属ガラススクリュー、チタン製スクリューを埋入し、屠殺後μCTを撮影し、骨量、骨密度、皮質骨厚さを計測し、各スクリューの引張り試験を行った。その結果、スクリュー周囲の骨量については、金属ガラススクリューの方が大きな値を示し、骨密度については、金属ガラススクリューの方が大きく、皮質骨厚さについてはチタン製スクリューの方が有意に大きな値を示した。また、引張り試験についてはチタン製スクリューの方が有意に大きな値であった。しかし、金属ガラスのハレーションの影響もあり、正確な値は計測が困難であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ビーグル犬を用いたin vivoにおける金属ガラス製ミニスクリューに対するりZr70Ni16Cu6Al8金属ガラスの機械的性質と同金属ガラス上での骨髄間葉細胞の骨分化能について、現在金属系生体材料として使用されているチタンのうち2種純チタンと比較、検討した。その結果Zr70Ni16Cu6Al8金属ガラスは高強度、低弾性率、高耐食性であることが明らかとなり生体材料として有用であることが示唆された。また、Zr70Ni16Cu6Al8金属ガラス上の骨髄間葉細胞における骨分化能の解析ではアルカリフォスファターゼ(ALP)活性の上昇が示され、この結果は2種純チタンとの比較において同程度であった。また、骨分化マーカーであるRunx2、ALP、オステオカルシン(OCN)のmRNAの発現において2種純チタンと同等に上昇することが示された。さらにZr70Ni16Cu6Al8金属ガラス上にヒト歯根未完成歯歯髄細胞を播種して骨分化能を解析したところ、ALP活性値が上昇し、アリザリンレッド染色の染色性が示された。これらのin vitroの結果からZr70Ni16Cu6Al8金属ガラスが矯正用ミニスクリューに必要とされる機械的強度と低ヤング率を有し、細胞への毒性が低く細胞親和性を有することが示され、新たな生体材料となる可能性が示唆されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究のin vitroの結果によって、新規のマテリアルであるZr基金属ガラスの生体親和性が示され、さらに研究をすすめることにより、Zr基金属ガラス製の生体材料への応用可能性が示唆された。今後は金属ガラス製ミニスクリューのデザインを改良した後、in vivoにおいて、金属ガラス製ミニスクリューを骨組織および人工骨等に植立し、その強度を引っぱり試験およびトルクゲージにより解析する。ビーグル犬に埋入した金属ガラス製ミニスクリューに矯正力を付加し、歯の移動を行い、固定源として十分な抵抗力を有するか解析する。次にマイクロCT解析により金属ガラス製ミニスクリューの骨組織への生着度およびマイクロクラック等の解析をする。さらに骨ラベリングにより金属ガラス製ミニスクリュー周囲歯槽骨の骨改造度の解析を行う予定である。埋入スクリューについて組織学的な解析も行う。スクリューが埋入された骨ブロックを樹脂包埋し、切片を作製する。切片を脱樹脂して、免疫染色を行い、共焦点レーザー顕微鏡にて観察を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
in vitroにおいては、引き続き金属ガラスの生体親和性の解析を行うために研究費の使用を計画している。in vivoにおいては、金属ガラス製ミニスクリューの埋入を行うビーグル犬、マイクロCT解析により金属ガラス製ミニスクリューの骨組織への生着度およびマイクロクラック等の解析、骨ラベリングにより金属ガラス製ミニスクリュー周囲歯槽骨の骨改造度の解析、埋入スクリューについて組織学的な解析、スクリューが埋入された骨ブロックを樹脂包埋し、切片を作製必要な切片を脱樹脂して、免疫染色を行い、共焦点レーザー顕微鏡にて観察を行うために必要な研究費の使用を計画している。
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