2011 Fiscal Year Research-status Report
軟骨細胞分化過程にある間葉系細胞の機械的刺激による分化制御の分子機構
Project/Area Number |
23792414
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高坂 久美子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (30585336)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 機械的刺激 / 軟骨細胞分化 / MAPK |
Research Abstract |
顎口腔機能複合体の成長発育は、咀嚼・発音機能と複雑に関連しあいながら遺伝的要因および環境的要因とに制御されていると考えられている。この成長発育は、鼻上顎複合体および下顎骨における軟骨内骨形成および膜内骨形成によって行われるが、その中でも下顎頭軟骨における成長発育は下顎骨の成長方向や成長量を決定する成長の場の一つとして重要な役割を担っている。本研究では、軟骨細胞の機械的刺激に対する応答特性の違いに着目し、伸展刺激および圧縮刺激を負荷できる機械的刺激負荷装置を用いて、軟骨細胞における機械的刺激応答の分子メカニズムを解明する。これにより、軟骨細胞分化を制御し、顎顔面骨格組織の成長制御を可能とするための基盤的理論を確立する。本年度は、PDMSを用いた機械的刺激の設計と作製に着手し、胎齢12日のSprague-Dawley系ラット胎仔より四肢胚を摘出し、コラゲナーゼ・トリプシンにより分散した細胞を用いたmicro mass細胞培養系の条件検討を開始した。また機械的伸展刺激および圧縮刺激負荷時の未分化間葉系細胞の軟骨分化をアルシアンブルー染色、軟骨特異的遺伝子(Sox9、Col2a1)リアルタイムPCRにより検討し、圧縮刺激負荷時には未分化間葉系細胞の軟骨細胞への分化が促進され、伸展刺激負荷時は抑制されることが示唆された。Extracellular signal-regulated kinase(ERK)の細胞内情報伝達系の活性化を検討するために免疫染色によりERKのリン酸化、核移行を検討し、機械的伸展刺激負荷にともない、ERKのリン酸化が起こること、さらにはリン酸化したERKが核内に移行することを、共焦点レーザー顕微鏡を用いて示した。これにより、ERK-1/2を介した細胞内情報伝達系が軟骨細胞の機械的刺激受容機構において細胞外からの刺激を核内に伝達している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胎齢12日のSprague-Dawley系ラット胎仔四肢胚より摘出した未分化間葉系細胞に対する伸展刺激および圧縮刺激の負荷培養系を確立することができた。また機械的伸展刺激および圧縮刺激負荷時の未分化間葉系細胞の軟骨分化をアルシアンブルー染色、軟骨特異的遺伝子(Sox9、Col2a1)リアルタイムPCRにより検討し、機械的圧縮刺激負荷時には未分化間葉系細胞の軟骨細胞への分化が促進され、機械的伸展刺激負荷時は抑制されることが示唆された。さらにExtracellular signal-regulated kinase(ERK)への細胞内情報伝達系の活性化を検討するために免疫染色によりERKの発現とメカニカルストレス負荷に伴うERKのリン酸化、核移行を検討し、機械的伸展刺激負荷にともない、ERKのリン酸化が起こること、さらにはリン酸化したERKが核内に移行することを、共焦点レーザー顕微鏡を用いて示した。これにより、ERK-1/2を介した細胞内情報伝達系が軟骨細胞の機械的刺激受容機構において細胞外からの刺激を核内に伝達している可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
機械的刺激負荷培養装置のPDMS膜の厚さと膜下面への内圧を変化させることにより、細胞に与える機械的刺激の強さを変化させることができる。機械的刺激の強さを様々に変化させ、また機械的刺激負荷時間を変化させて実験を行い、未分化間葉系細胞の軟骨細胞への分化とMAPKの活性化について検討する。これにより軟骨細胞分化を抑制または促進する至適な機械的刺激の強さと時間を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は未分化間葉系細胞を採取するための必要最低限のラットの購入と、機械的刺激負荷装置の部品の購入に使用する。また、本研究の核となる機械的刺激に対するMAPK分子の活性化を定量するために、タンパク質を検出するシステムを購入する。さらに次年度は成果発表と論文の校閲、印刷に使用する。
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