2012 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨細胞分化過程にある間葉系細胞の機械的刺激による分化制御の分子機構
Project/Area Number |
23792414
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高坂 久美子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (30585336)
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Keywords | 機械的刺激 / 軟骨細胞分化 / MAPK |
Research Abstract |
顎口腔機能複合体の成長発育は、鼻上顎複合体および下顎骨における軟骨内骨形成および膜内骨形成によって行われるが、その中でも下顎頭軟骨における成長発育は下顎骨の成長方向や成長量を決定する成長の場の一つとして重要な役割を担っている。 本研究では、軟骨細胞における機械的刺激応答の分子メカニズムを解明することを目的とした。 まず胎齢12日のSprague-Dawley系ラット胎仔四肢胚より摘出した未分化間葉系細胞に対する伸展刺激および圧縮刺激の負荷培養系を確立した。また伸展刺激および圧縮刺激負荷時の未分化間葉系細胞の軟骨分化をアルシアンブルー染色、軟骨特異的遺伝子(Sox9、Col2a1)リアルタイムPCRにより検討した。圧縮刺激負荷3日後にはSox9、Col2a1ともに発現が増加し、伸展刺激負荷時には減少する傾向がみられた。これより圧縮刺激負荷時には未分化間葉系細胞の軟骨細胞への分化が促進され、伸展刺激負荷時は抑制されることが示唆された。 さらにExtracellular signal-regulated kinase(ERK)の細胞内情報伝達系の活性化を検討した。共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察により、伸展刺激負荷にともないERKのリン酸化が起こること、さらにはリン酸化したERKが核内に移行することが示された。Cycloheximideを添加した場合においても、ERK-1/2の活性化は認められたが、ERK-1/2 の遺伝子発現については、刺激開始後12時間では全く変化を示さなかった。PD98059もしくはU0126 を添加した場合、伸展刺激を負荷してもアルシアンブルーに陽性に染色されるノジュールは減少せず、コントロール群と同様の像を呈していた。 これにより、ERK-1/2を介した細胞内情報伝達系が軟骨細胞の機械的刺激受容機構において細胞外からの刺激を核内に伝達している可能性が示唆された。
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