2011 Fiscal Year Research-status Report
嚥下調節機構における摂食関連ペプチドの役割とその発達に関する研究
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23792424
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中村 由紀 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70452779)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 嚥下 / 摂食 / ペプチド |
Research Abstract |
摂食は、様々な栄養素を体内に取り込むための動物にとって必要不可欠な行為である。また嚥下は、食物を口腔から咽頭、食道を経て胃に送り込む一連の動作で、胎生期から既に備わっている摂食の必須過程である。これらの調節は、末梢からの情報を介して最終的に脳で行われている。摂食と嚥下の調節システムに関わる研究の中で、摂食調節に関わるペプチドと嚥下調節との関連性については意外なことにあまり調べられていない。本研究では、両者の関連性について、発達期を通して調べることで、摂食調整システムと嚥下との関連性を解明することを目的とした。嚥下は摂食行動において必須過程であることから、摂食関連ペプチドが嚥下に関わっていることが強く予想される。本年度は、代表的な摂食関連ペプチドが嚥下調節にどのように関わっているか、また嚥下による末梢情報が中枢における摂食関連ペプチドにどのような影響を及ぼすかを、生理学的および組織学的手法を用いて解析を遂行する。 満腹感を感じる要因の一つに血中のグルコースが増加があり、これによりインスリンレベルが上昇するとインスリンは摂食を終了させる飽食因子として働く。対象動物を用いて、血中グルコース濃度を増加させた時の嚥下活動のデータ収集を継続している。このデータ解析にて有意な差が得られれば、次の段階である、グルコースおよびインスリンを側脳室内注入した時の嚥下活動の変化についての検索も進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各種摂食調節因子について、それらを脳内投与したときの嚥下運動に及ぼす変化について、対象動物を用いて電気生理学的・組織学的な検索を進めているが、脳内投与は実験手技的問題として正確な投与を行うには長時間を要す。そのため、対象動物の耐久性の問題が生じ、嚥下運動の記録が当初の予定通りには順調に進めていくことができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
中枢で感じる満腹感が嚥下に及ぼす影響について調べるために、グルコースおよびインスリンを側脳室内注入した時の嚥下活動の変化について検索を行うことを、当初第一計画としていた。しかし実験を遂行していく中で、脳内投与は実験手技的問題として正確な投与を行うには長時間を要し、対象動物の耐久性の問題から嚥下運動の記録を順調に進めていくことが困難であるという課題が生じた。そのため、まずは比較的容易に満腹感が嚥下に及ぼす影響について調べるため、血中グルコース濃度を増加させた時の嚥下活動のデータ収集を行い、解析を遂行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた各種神経ペプチドを使用した嚥下活動の変化について検索の研究が今年度未着手であったため、それに関わる未使用の研究費が生じた。今後の研究の推進方策にのっとって、次年度の研究計画は予定通りに遂行する予定である。よって当初の計画通り、各種摂食関連神経ペプチドによる嚥下活動変調の解析や嚥下活動を誘発したときの中枢における摂食関連ペプチドの発現の解析に関わる生化学試薬や生化学実験器材をはじめとして、基本的な電気生理学実験器材および実験動物の購入や維持に使用予定としている。
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Research Products
(3 results)