2011 Fiscal Year Research-status Report
矯正力負荷によりコントロールされる破骨細胞分化機構の解析
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23792455
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
荒井 敦 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (00532772)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 破骨細胞 / 破骨細胞前駆細胞 / RANK / c-Fos / RANKL / M-CSF / 矯正力 / 歯の移動 |
Research Abstract |
破骨細胞前駆細胞の分化機構を明らかにすることで代謝性骨疾患ならびに,歯科矯正分野における骨改造現象への関連を明らかにすることを目指した.以前我々はRANK陽性細胞の挙動を、破骨細胞形成不全マウスを用いて解析し、骨表面における破骨細胞前駆細胞のRANKの発現上昇には、RANKLは必要なく、c-Fosが必要であることを解明した(第27回日本骨代謝学会学術集会発表)。平成23年度では、破骨細胞前駆細胞におけるc-Fosを介したRANKの発現上昇機構について検討した。(1)M-CSF受容体(c-Fms)陽性細胞は、RANKL欠損マウスおよびc-Fos欠損マウスの骨組織の両方に認められた。(2)野生型マウス由来マクロファージ(M)に対するM-CSF刺激は、c-FosとRANKの発現を上昇させた。一方、c-Fos欠損マウス由来(M)ではM-CSF刺激によるRANKの発現上昇は認められなかった。 (3)c-Fos欠損マウス由来(M)へのc-Fosの過剰発現は、RANKの発現を上昇させた。(4)c-Fos欠損マウス由来(M)へのRANKの過剰発現は、RANKL誘導性の破骨細胞分化をレスキューできなかった(第27回日本骨代謝学会学術集会発表)。 これまでc-Fosは、RANKL/RANKシグナルの下流でのみ破骨細胞分化に寄与すると考えられてきた。今回の結果より、破骨細胞前駆細胞においてc-Fosは、M-CSF/c-Fmsシグナルの下流でRANKの発現上昇にも必要であることが明らかになった。骨表面における骨芽細胞由来のM-CSFは、破骨細胞前駆細胞のRANKの発現を上昇させることにより、効率的に破骨細胞分化を誘導することが示唆された(Journal of Cell Science 2012 in Press)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は破骨細胞前駆細胞におけるc-Fosの役割とRANK発現上昇についての解析を行う予定となっており(1)RANKL欠損マウスおよびc-Fos欠損マウスの骨組織におけるM-CSF受容体(c-Fms)陽性細胞の局在。(2)M-CSF刺激による野生型マウス由来マクロファージ(M)のc-FosとRANKの発現上昇について。また、c-Fos欠損マウス由来(M)におけるM-CSF刺激によるRANKの発現上昇について。 (3)c-Fos欠損マウス由来(M)へのc-Fosの過剰発現によるRANKの発現上昇について。(4)c-Fos欠損マウス由来(M)へのRANKの過剰発現について(第27回日本骨代謝学会学術集会発表)研究結果が得られ、学会ならびに論文投稿(Journal of Cell Science 2012 in Press)を行ったことから、本研究における平成23年度の達成度はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は矯正力負荷による破骨細胞前駆細胞の挙動のin vivoでの解析を行う予定であり、1)破骨細胞前駆細胞の単離はActin-プロモーターの下流で、全身性にDsRedを発現するマウス (DsRed発現マウス) の骨髄から回収する予定である。 2) 圧迫側での破骨細胞前駆細胞解析については、マウスの上顎切歯と第1臼歯の間にスプリングを装着し、10 gの矯正力で第1臼歯を近心方向へ移動することにより歯科矯正モデルマウスを作製する。また、1)で回収したQOPおよびコントロール画分をマウスの尾静脈より打ち込み、矯正圧迫側へのQOPの集積を、蛍光顕微鏡により観察する。さらに、矯正力負荷時の破骨細胞前駆細胞分化過程におけるc-Fos発現とRANKの挙動のin vitro解析を行う予定であり、1) 矯正力負荷によるQOP分化過程における影響については、マウス脾臓由来マクロファージを破骨細胞前駆細胞へ分化させる過程において重力負荷を矯正力として加えその影響を解析する。さらに矯正力負荷によるc-Fos発現誘導因子の解析については、野生型マウス由来歯根膜細胞にLoad Gを用いて重力負荷を与えmRNAを抽出し、発現が上昇する分子をDNAマイクロアレイにより同定する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度における研究費の使用計画としては1)マウスおよび飼育費。2)分子生物学関連試薬として各種抗体ならびに各種サイトカイン。3)実験器具の購入を予定している。また旅費としては日本骨代謝学会、米国骨代謝学会、日本矯正歯科学会への参加を予定している。
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[Journal Article] Lineage-committed osteoclast precursors circulate in blood and settle down into bone2011
Author(s)
Muto A, Mizoguchi T, Udagawa N, Ito S, Kawahara I, Abiko Y, Arai A, Harada S, Kobayashi Y, Nakamichi Y, Penninger JM, Noguchi T, Takahashi N
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Journal Title
J Bone Miner Res
Volume: 26(12)
Pages: 2978-2990
DOI
Peer Reviewed
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