2011 Fiscal Year Research-status Report
Functional Health Literacy尺度の開発
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23792567
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Research Institution | Yokkaichi Nursing and Medical Care University |
Principal Investigator |
中神 克之 四日市看護医療大学, 看護学部, 助教 (20551237)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ヘルス・リテラシー / 項目反応理論 / 項目応答理論 / Functional ヘルス・リテラシー / Health Literacy / テスト開発 |
Research Abstract |
我が国でも医療職者の発言内容や説明文書などの読解・理解に困難をきたすFunctional Health Literacy (FHL)の低い患者が2割から3割程度いると推測でき、医療サービス上の不利益や健康障害を引き起こしている可能性が考えられた。恐らく、我が国の医療職者はコミュニケーションを取る中で経験的にそのような患者を見分けられる者もいると思われたが、この方法では医療職者の経験や観察力による差が現れやすく見落とされる患者も多いと推測できた。また、医師の説明に関して看護師が患者や家族に補足を行う場面があるが、患者の説明への理解度を確認しづらい点や多事過密業務などから、看護師は患者・家族の申し出がない場合は進んで補足説明をしにくいのではないかと思われた。このテストによりFHLの低い患者を選別できれば、看護師は説明すべき対象者を明確にでき短時間で効率の良い説明を行えると期待できた。そこで、我が国の医療環境下で実際に使用されている医療用語や医療情報を用いて、その計算・理解・読解能力に困難のある患者を客観的にスクリーニングできるFHLテストの開発研究を開始した。まず、16問からなる試作版テストを作成し、外部基準となる4つの尺度を決定した。開発方法は、項目反応理論をベースにすることとした。今年度は、400名の対象者から協力が得られた。外部基準の尺度と低FHL患者の分布を参考に、カットオフ値の候補を算出できた。さらに、カットオフ値の妥当性を得るため、年齢や最終学歴などの基本属性を分析した。その結果、日本人用FHLテストの開発手順は先行研究から妥当であると判断でき、信頼性係数、妥当性係数なども良い数値が算出された。よって、日本人用FHL Testは信頼性と妥当性の高いテストであり、外来患者のFHLレベルを適格に弁別できると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究対象者が計画予定よりも順調に集まってデータ収集できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はテスト開発の結果を学術雑誌に投稿する予定である。研究者間では、その開発・分析過程から、すでに本研究は十分な信頼性・妥当性を確保していると考えている。そこで、本研究の専門家の集まる国際的な学術集会でその成果を発表し、他の研究者の意見を収集する。さらに、学術的な外部評価を得るため国際的な学術研究論文へ投稿し、その掲載の決定をもって開発の完成とする予定である。そして、完成の後はテストの使用を推進するため本テストのホームページを開設する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画は、国際学会への参加費用、国際的な学術雑誌への投稿準備のための英語校正会社による費用と、テスト開発後のホームページ作成費用を計上する予定である。
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