2012 Fiscal Year Research-status Report
乳がんの女性の不確かさに対するオンコロジーナースの看護実践
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23792579
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
長坂 育代 千葉大学, 看護学研究科, 特任准教授 (50346160)
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Keywords | 乳がん / 不確かさ / オンコロジーナース / 看護実践 |
Research Abstract |
本研究の目的は、乳がんの女性が疾患や治療に伴う不確かさとうまく折り合いをつけるために、乳がん看護において高い実践能力をもつオンコロジーナースがどのような看護を実践しているのかを明らかにすることである。 昨年度に乳がん看護や高度な臨床判断・実践に関する文献検討を行い、本年度は文献検討に基づいてインタビューガイドを再構成し、研究計画の倫理審査を経て、オンコロジーナースへのインタビュー調査を実施した。 本研究では、臨床経験が5年以上あり、がん看護に関する専門資格ならびに乳がん看護において優れた実践経験を持つ者をオンコロジーナースと定義し、ネットワークサンプリングを用いて対象候補者を選出した。対象候補者と施設の所属長に研究協力の依頼と説明を行い、両者から研究協力への同意が得られた7名にインタビュー調査を実施した。対象者の専門資格は、がん看護専門看護師3名、乳がん看護認定看護師3名、がん化学療法看護認定看護師1名であり、臨床経験年数は10~18年であった。インタビューの時間は平均73.4分であった。 対象者は、乳がんの女性の不確かさを、告知された時や再発が分かった時など[自分にとって悪い出来事が起きて先の見通しが立たなくなった時]、多様化・複雑化する乳がん治療において[様々な情報や選択肢のなかで混乱し意思決定に迷う時]などに生じると捉えていた。また、乳がんの女性が不確かさと折り合いをつけることを、[今ある現状を受け止め自分なりに気持ちを整理できること][自分の選択に納得し今やるべきことをやっていると思えること]などと捉えていた。対象者の不確かさと折り合いをつけることを支える看護実践には、[乳がんの女性が持っている“自分で決める力”を信じる][その乳がんの女性が必要としている情報の内容・提供方法・タイミングを見極める][乳がんの女性の揺れのなかにともに居続ける]などがあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は2年間の計画であったが、昨年度が当初の予定通りに計画を遂行できなかったため計画がずれ込んでしまった。本年度は、倫理審査を経てオンコロジーナース7名へのインタビュー調査を行ったが、データ量が十分ではなく対象者を今後増やしていく必要があると判断し、1年間の延長申請を行っている。以上のことから、当初の予定より遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、文献の再検討、研究計画の倫理審査を経て、乳がん看護領域において高度な看護実践を行っているオンコロジーナース7名にインタビュー調査を行った。乳がんの女性の不確かさに対するオンコロジーナースの看護実践を網羅するためには、対象者数やデータ量が十分とは言えないため、次年度においても引き続きオンコロジーナースへのインタビュー調査を継続し、対象者を20名程度に増やす予定である。次年度は、平成25年8月までにインタビュー調査を終了し、その後データの全体分析を行い、平成26年2月の日本がん看護学会学術集会等にて成果を公表したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度までにオンコロジーナースへのインタビュー調査のデータ収集および分析を行い研究を完了する予定であったが、データ収集前の事前検討の段階で概念枠組みの再検討が必要となり、その後の研究の倫理審査、対象候補者が所属する医療機関等への研究協力依頼の手続きにも予想以上に時間を要したため、データ収集・分析を終えることができず、研究期間の延長申請を行った。 次年度に持越しとなった研究費約630千円は、本年度に引き続いて実施するオンコロジーナースへのインタビュー調査のための交通費やテープ起こしの費用、専門家からスーパーバイズを受けるための謝金、研究成果を学会等に公表するための費用に充てる予定である。
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