2013 Fiscal Year Annual Research Report
乳がんの女性の不確かさに対するオンコロジーナースの看護実践
Project/Area Number |
23792579
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
長坂 育代 千葉大学, 看護学研究科, 特任准教授 (50346160)
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Keywords | 乳がん / 不確かさ / 看護実践 / 専門看護師 / 認定看護師 |
Research Abstract |
本研究の目的は、不確かさを抱える乳がんの女性に対するオンコロジーナースの看護実践を明らかにすることである。 最終年度は、前年度に引き続き、臨床経験が5年以上あり、乳がん看護実践の経験が豊富でがん看護領域の専門資格をもつ看護師にインタビュー調査を行い、計13名の逐語録を質的帰納的に分析した。対象者は、いずれもがん看護専門看護師や乳がん看護認定看護師等の専門資格を有し、臨床経験年数は平均16.3年(9-33年)、乳がん看護実践年数は平均10.2年(4-24年)であった。 分析の結果、対象者は乳がんの女性が抱える不確かさを、乳がんという疾患がもつ治療選択の複雑さ、治療効果やサバイバーとしての期間の曖昧さ、これまで築いてきた生活や自己イメージの揺らぎ等が複雑に絡み合って生じると捉えていた。また、対象者は、乳がんの女性自身が、置かれている状況のなかでやるべきことが何かが分かる、これならやっていけると思える、私はこれでいいと思えることを目標とし、〈表情や言動から垣間見えるものに“違和感”を感じ取る〉〈思いの背景にあるものを探り問題の核心を捉える〉〈混沌とした思考を整理し解きほぐす〉〈個々の特性や状況に応じて提供する情報を調整する〉〈自ら立つための確かな足場をつくる〉等の看護実践を行っていた。 オンコロジーナースは、乳がんの女性の話に耳を傾けながら、表情や言動の裏にある問題の本質を見極め、女性が支援を必要とするタイミングを的確に捉えていた。不確かさを抱える乳がんの女性に対して、混沌とした思考を整理し心の拠り所となる確かな足場をつくることは、看護師だからこそできる支援であり、女性が不確かさのなかで自分自身と折り合っていく後押しとなっていたと考える。 乳がんの女性に対するオンコロジーナースの高度な看護実践を不確かさの観点から可視化することは、看護における心理的ケアの質の向上に繋がると考える。
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