2012 Fiscal Year Research-status Report
造血幹細胞移植における意思決定と看護支援に関する研究
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23792588
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
田中 智美 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40510300)
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Keywords | 造血幹細胞移植 / 意思決定 |
Research Abstract |
平成24年度は、移植看護に携わるなかで困難だった看護介入場面に関する自由記載内容について分析を行った。分析方法は、自由記載のテキストデータから形態素解析によるコンセプトを抽出し、品詞の頻度を確認した。その後、言語学的手法に基づきカテゴリー化しネーミングを行った。分析ソフトとして、SPSS Text Analytics for Surveys Ver.4を用いた。 分析の結果、自由記載文字数は約4255文字で、看護師1人につき約115文字であった。形態素解析によって得られた品詞とその頻度は、名詞(70)、動詞(64)などで名詞の内容を具体的に示すと、患者(40)、移植(36)、家族(18)、医師(12)、支援(10)などであった。次に、名詞を言語学的手法によって分類した結果、18個のサブカテゴリーが抽出された。これらを類似性に沿って整理し7個のカテゴリーが抽出された。 【移植と向き合う患者の精神的支援】の場面では移植を選択したことを自ら肯定できるような指示的かかわりが求められ、【医師との協働におけるジレンマ】を感じる場面では医師と看護師など関係職種がお互いを評価・承認し合いコミュニケーションを円滑にしチームを形成する必要がある。【意思決定時における支援の難しさ】を感じる場面では移植を決意した思いを傾聴し、【患者‐家族関係への援助】の場面では家族のもつ機能が患者にとって効果的に働くよう、家族ができるケア内容などの教育的介入が必要である。【合併症・副作用の理解と対応】では移植に対する期待が大きい分、合併症などに対する心理的反応も大きいため、これらのギャップを最小限にする必要がある。【急変時の対応について事前に情報収集する】では病状の受け止め方や治療に対するニードを把握する必要があり、【ADLが低下した状況下での移植の実施】では移植前からのリハビリテーションの必要性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はおおむね順調に進展している。また、研究結果も順調に学会発表を通じて公表できている。面接調査を当初は先に予定していたが、昨年度の研究の流れから先に自由記載内容についての分析を進める方が妥当であったため、適宜優先順位を考えながら研究を進めたことが、その理由と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで看護師の実態について調査してきた。最終年度では、実際に移植を受けた患者への面接調査を行う予定である。対象者の選定について、対象施設の関係者と調整を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度は、面接調査を予定しているため質的研究の専門家にスーパーヴァイズを受け、分析結果の信頼性・妥当性を高めていく必要がある。その際の、研究打ち合わせ旅費としての使用を予定している。また、面接調査結果を年度末の学会で発表する予定であるため、その旅費としても計画している。物品としては、面接調査に必要なICレコーダーの購入などを予定している。
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Research Products
(2 results)