2011 Fiscal Year Research-status Report
コンコーダンスに基づく2型糖尿病患者の治療中断経験の分析
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23792621
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
長谷川 直人 東邦大学, 看護学部, 助教 (00436198)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 糖尿病看護 / 患者教育 / 受診中断 / コンコーダンス |
Research Abstract |
当該年度は、2型糖尿病患者の受診中断に関連する研究論文の分析、ならびに調査研究の実施準備(対象者の募集開始)を行った。 研究論文の分析は、まずCINAHL,Pub Med,医学中央雑誌の3つデータベースから検索を行った。キーワードは、CINAHLおよびPub Medは"diabetes mellitus"に加え"dropouts"もしくは"treatment refusal"、医学中央雑誌は「糖尿病」に加え、「受診中断」もしくは「医療中止患者」として検索した。得られた論文のうち、重複する論文、抄録から関連する記述がないと考えられる文献を除き、20件の論文(欧文8件、和文12件)を分析対象とした。 分析は得られた論文の記述から、受診中断の定義、先行要件、受診中断の理由と関連する体験、帰結、関連する概念についてそれぞれ整理した。その結果、受診中断の先行要件としては年齢(若年者)、性別(男性)、職業の有無(有職者)、糖尿病の罹病期間(診断早期)、治療内容(食事療法、運動療法のみ)薬物療法、喫煙の有無(喫煙者)が受診中断のリスク要因であることが確認された。受診中断の理由と関連する体験は、論文中の関連する記述を抽出し、質的記述的に分析したところ【自己の健康管理方法の優先】【糖尿病の知識と認識の不足】【療養行動継続の負担感】【社会的役割の優先】【医療者との関係性】【受診システムと環境の非効率性】の6つのカテゴリーに分類された。 以上の内容を踏まえて調査研究計画書一式を作成し、研究者の所属施設ならびに調査対象施設の倫理審査委員会の承認を得た。また、対象者の募集を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、平成23年度に「中核病院を受診する2型糖尿病患者の受診行動に関する実態調査(以下、実態調査)」として、外来を受診する患者約60名に質問票調査を行ったのち、「2型糖尿病患者が治療中断を決断した理由の分析(以下、面接調査)」として、過去に半年以上の受診中断歴がある患者を対象に面接調査を行う予定であった。 しかしながら、所属施設および調査施設の倫理審査を受ける過程において、再度関連論文を検討したところ、実態調査から得られる結果は新規性に乏しく、また対象者の負担を考慮し、実態調査は取りやめる判断をした。 一方、面接調査は予定通り調査準備を行い、現在対象者の募集を開始していることから、課題達成はやや遅れているものの十分対応可能であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
「中核病院を受診する2型糖尿病患者の受診行動に関する実態調査」は取りやめの判断をしたが、本研究の最重要課題である治療中断経験の分析は予定通り実施するため、最終的な目標達成は可能として調査を進めている。 一方、2型糖尿病患者の受診中断に関連する研究論文の分析の結果、従来の研究成果では治療中断に関連する知見をまとめたものや、概念的な考察をしているものは非常に限られていることが確認された。よって、今回の論文検討の結果も、本研究課題の一つの成果として公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に使用予定であった面接調査のための研究費、つまり調査対象への謝礼やデータ入力費、分析結果のスーパーバイズ謝金等は、次年度に実施するためそのまま持ち越す。 取りやめる「中核病院を受診する2型糖尿病患者の受診行動に関する実態調査」として予定していた研究費は、2型糖尿病患者の治療中断に関連する研究論文の分析結果を公表するための研究費として使用する。具体的には、論文投稿費用、学会発表のための国内旅費、書籍費、事務用品費とする。
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