2012 Fiscal Year Annual Research Report
コンコーダンスに基づく2型糖尿病患者の治療中断経験の分析
Project/Area Number |
23792621
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
長谷川 直人 東邦大学, 看護学部, 助教 (00436198)
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Keywords | 糖尿病看護 / 治療中断 / 受診中断 / コンコーダンス / 患者教育 |
Research Abstract |
本研究は、2型糖尿病患者の治療中断に関する要因を、患者の体験している視点から明らかにしようとするものである。2型糖尿病患者の治療中断を「患者の価値観およびライフスタイルを基準とした主体的な決断の結果」と捉え、患者と医療者との関係性を含めた中断理由を分析した。その結果、2型糖尿病患者の新たな治療中断因子の概念が抽出された。 調査対象は、総合病院の糖尿病外来を受診する2型糖尿病患者のうち、過去に半年以上糖尿病治療を目的とした受診をしなかった人である。対象者には、半構成的面接調査を行った。得られたデータから、受診中断理由について語っている箇所を抜き出し、コードとした。コードの特性を解釈し、似たような性質をもつものをまとめてカテゴリーとした。対象者は計14名で、性別は男性11名(78.6%)、女性3名(21.4%)、平均年齢は51.6歳で、全員が経口糖尿病薬もしくはインスリン注射を行っていた。 これまでの分析の結果、2型糖尿病患者の治療中断要因には、【治療がうまくいかないことによる挫折】【病者として扱われることへの不満】【成果だけを求める治療指示】【自己主張できないことへの葛藤】【情報コントロール不足】【医療者との療養観の共有不足】が挙げられた。 2型糖尿病患者は、普段十分に療養できていないことに挫折を感じ、受診で自分の血糖値と向き合うことを躊躇していた。また、糖尿病を周囲に伝えていないことで時間が作れなかったり、伝えていても社会的役割を遂行するために予定を空けられない経験をしていた。医療者との関係性では、受診時に患者が普段の生活体験や困っていることをうまく伝えられず、成果だけを求められている感覚が治療中断につながっていた。このように、2型糖尿病患者の治療中断には、患者が他者との相互的影響がある社会で生活しているがゆえに、他者との関係性が大きく影響していることが推察された。
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