2011 Fiscal Year Research-status Report
効果的な低身長小児への外来支援:コーピングの防御因子と脆弱因子の解析
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23792646
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
西村 直子 鳥取大学, 医学部, 助教 (30548714)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 低身長 / ストレス / 心理社会的適応 |
Research Abstract |
平成23年度の研究は低身長外来に通う低身長児(者)の身長に関するストレス、身長に関するストレスへの認知、コーピングとそれに関連する要因ならびに心理社会的適応の実態を明らかにすること目的として実施した。低身長外来に通う小学生から高校生を対象に調査の依頼を行い、25名より同意を得た。平均年齢は13.1歳(±2.9)で、身長SDスコアは平均-2.9(±0.94)であった。各尺度の素点を健常小児集団でのSDスコアに換算した。 身長ストレスは「身体不快感」「こどもとの関わり」「大人との関わり」「ボディイメージ」「親の認識」で平均より得点が高く、特に「身体不快感」が1.9±2.0と高かった。認知評価は「影響性」が平均より低い得点で、「コントロール性」は平均より高い得点だった。コーピングは小学生が「サポート希求」をよく使用し、中高生は「積極的対処」「サポート希求」「逃避回避的対処」を使用していた。セルフエフィカシーは3.4±1.7と非常に高かった。ソーシャルサポートは「父」「母」「先生」「友人」からのサポートを十分に認識していた。身体的心理的ストレス反応の得点は平均的だった。自己概念は「運動評価」が平均より低い得点で、「学業」「友人」「容姿」「道徳」「全体的自己価値」は平均より高かった。 年齢別にみると、セルフエフィカシーは小学生が有意に高く、自己概念の全体的自己価値は高校生が高かった。学校ストレスの「友人」は小中学生が有意に高く、「学業」は高校生が有意に高かった。各指標の得点に男女差はなかった。 以上の結果より低身長児(者)は身長ストレスが高いが、それに対して、影響性は強く感じておらず、コントロール性も感じていた。また、セルフエフィカシーやソーシャルサポートなどの内的・外的資源を活用しており、自己概念が保たれていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低身長児(者)のストレス、コーピングの実態に関する結果が得られている。今後はそれぞれの要因の関連について検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
小児科医、小児看護領域の教員の指導を受け、本研究で明らかになった低身長児(者)のストレス、コーピングの実態をもとにそれぞれの関連についての検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
書籍・文献を用いての検討、学会に発表するための参加費および旅費や発表の際のスライド作成、論文投稿などに費用を使用する。学会での発表および学術誌への投稿において各方面の専門家との意見交換を行い、研究の発展に努める。なお、次年度使用額の10,888円については平成23年度に購入予定であった書籍が入荷されなかったため繰り越しとなった。
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