2013 Fiscal Year Annual Research Report
効果的な低身長小児への外来支援:コーピングの防御因子と脆弱因子の解析
Project/Area Number |
23792646
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
西村 直子 鳥取大学, 医学部, 助教 (30548714)
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Keywords | 低身長 / 小児 / 心理社会的適応 |
Research Abstract |
身長が低いことで、日常生活の中でストレスを受けていると思われる低身長を持つ小児の心理社会的適応を促進する効果的な支援方法を検討するために、心理的適応に影響を及ぼす心理社会的因子のなかで促進因子となるもの、脆弱因子となるものを明らかにすることを目的に調査を実施した。結果、身長が低いことでストレスを受けているにも関わらず、適応を示すストレス反応や自己概念は正常身長児と変わらなかった。身長ストレスをどのように認識しているかを示す「影響性」「コントロール性」も正常身長児と変わらなかった。これは身長が低いことをストレスと感じているが、そのことが自身に及ぼす影響を脅威と感じることなく、また、コントール可能であると感じていることもうかがえた。この「影響性」「コントロール性」で構成される認知的評価が適応を促進する因子となりうる事が示唆された。心理社会的因子のなかでも特にセルフエフィカシーは高く、適応指標であるストレス反応や自己概念とも相関が高かったことから適応を促進する因子として有効であると考えられる。また保護者が治療に不安を持つ場合、小児の自己概念が低くなることから保護者の治療に対する思いが脆弱因子となると考えられる。 極端な低身長を呈する軟骨無形成症を持つ小児を対象にした身長ストレスに関連する心理社会的適応と心理社会的適応に影響する因子についての調査でも同様の結果が得られた。しかしながら、軟骨無形成症を持つ小児では認知的評価の「影響性」とセルフエフィカシーが心理社会的適応指標と強い相関を示したのに対し、低身長を持つ小児ではセルフエフィカシーのみが心理社会的適応と強い相関を示した。以上のことから、低身長を持つ小児では特にセルフエフィカシーに介入していくことが心理社会的適応を促進するうえで有効であると示唆された。
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Research Products
(1 results)