慢性疾患をもつ子どもの家族と関わる外来看護師の教育支援ニーズに関する研究

2011 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 23792656
• Research Institution: Nagano College of Nursing
• Principal Investigator: 高橋 百合子 (大脇 百合子) 長野県看護大学, 看護学部, 助教 (00438178)
• Project Period (FY): 2011-04-28 – 2013-03-31
• Keywords: 慢性疾患 / 外来看護師 / 家族 / 子ども / 教育支援

Research Abstract

本研究は，慢性疾患をもつ子どもの家族と関わる小児科外来看護師の援助場面における看護師と家族の認識を知り，外来看護師が家族とコミュニケーションをとる上で必要としている教育支援ニーズを明らかにすることを目的とするものである．本年度は，次年度実施する外来看護師の教育支援ニーズに関する質問紙調査に向け，外来看護師の援助場面の観察と認識の調査を行った．詳細は以下のとおりである．１．参加観察および面接調査に関する準備　慢性疾患をもつ子どもや家族にかかわる看護職者に関する文献，外来看護師への継続教育に関する国内外の文献，参加観察による調査に関する文献検討を行い，研究方法を検討した．また，国内学会に参加し，慢性疾患の子どもや家族に関する研究の動向について情報収集をした．　２．小児科外来看護師の援助場面の観察と認識の調査　慢性疾患をもつ子どもの家族に外来看護師や他職種がどのように関わっているかを把握するために，Ａ総合病院小児科外来にて参加観察と面接調査を実施した．対象者は，慢性疾患の子どもをもつ家族5名とその家族に関わっている外来看護師3名である．研究者は子どもの外来受診時にリハビリ，問診，診察，処置場面の見学をし，家族と看護師それぞれの認識について半構成的面接を行った．家族は看護師の声かけを嬉しいと思っており，特定の看護師に継続的にかかわって欲しいと考えていたが，看護師の多忙な様子から相談しにくさも感じており，主治医など他職種を頼りにしていた．看護師は，問診や処置時に意識して声をかけて子どもや家族の状況を捉えようとするなど，時間を作り出してかかわりを持とうと努力をしていた．しかし，他職種との情報共有が不十分であることや，急性期疾患の子どもが優先される現状があることなどの難しさを認識していた．今後は，観察した援助場面の内容も踏まえてさらに分析を深めていく予定である．

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は参加観察および面接調査に関する準備として、文献検討と情報収集を行い、小児科外来看護師の援助場面の観察と認識についての面接調査を予定通り実施することができた．現在，調査結果の分析途中であるため，さらに進めて次年度の調査につなげていきたいと考えている．

Strategy for Future Research Activity

平成24年度は育児休業を取得するため，研究を中断する．平成25年度　１）質問紙調査の実施：平成23年度の調査を基に外来看護師の教育支援ニーズに関する質問紙を作成する．内容は，慢性疾患をもつ子どもの家族とのコミュニケーションで難しいと感じる内容とそのときの対処について，必要と感じるコミュニケーション技術について等，コミュニケーション技術と教育支援ニーズが明らかになる項目とする．質問紙の内容を十分吟味する必要があるため,所属講座の小児看護学研究者に専門的見地からの助言を求める．また，数名に対してプレテストを行い，再度内容の検討を行う．(1)対象の抽出：長野県および周辺各県で小児科外来診療を行なっている総合病院に勤務する小児科外来看護師を対象とする．(2)調査の実施：平成24年10月～12月頃に調査を実施する．対象施設宛に質問紙を郵送し，小児科外来看護師に配布してもらう（各施設2部程度）．質問紙の返送は看護師個別に行なうようにする．　２）データ分析：統計解析ソフトＳＰＳＳを使用し，データ分析を行う．分析の妥当性を得るため，本学の研究者に協力を得て行う．　３）平成23年度調査結果の公表：学会発表・論文作成を行う．

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度は育児休業を取得するため，研究を中断する．