2011 Fiscal Year Research-status Report
児童精神科で薬物療法を受けている子どもを対象とした心理教育プログラムの実証的研究
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23792712
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
永江 誠治 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50452842)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | アドヒアランス / 心理教育プログラム / 子ども / 児童精神科 / ADHD |
Research Abstract |
当初、対象者を「向精神薬による薬物療法を受けている8~18歳の外来患者」と想定していたが、児童精神科領域の専門家や児童精神科医数名とディスカッションした結果、まずは対象をADHDの子どもに限定して実施するように一部変更した。そこで改めて文献レビューを行い、ADHDの子どものアドヒアランスや心理教育プログラムに関する先行研究を調査した。(1)文献レビュー:ADHDのアドヒアランスを評価した研究はいくつかあるものの、その評価方法はピルカウントや服薬遵守に関するセルフレポートのみであり、薬に対する態度や姿勢などの、患者の「主体性」を評価している研究はなかった。また89%の子どもは「薬は役に立つ」と感じているが、85%の子どもは副作用を経験しており、薬を飲んでいる子どもの65%は、自らの意志で服薬を拒絶していることがわかった。子どもを対象とした心理教育プログラムは、唯一Children's Medication Algorithm Project という取り組みの中で行われているものがあるものの、評価は対象者の満足度調査のみであった。(2)評価尺度の選定:アドヒアランスの評価尺度は研究代表者自身が開発した尺度のみを使用する予定であったが、ADHDに対象者を限定した場合、The Southampton ADHD Medications Behavior and Attitude という尺度が存在することがわかった。そこで尺度開発者に許可を取り、これの日本語版を作成した。アドヒアランス以外の評価尺度および評価項目としては、ADHD-RS(症状評価)、Children’s Global Assessment Scale(機能の全般性評価)、Family APGAR(家族機能)、Client Satisfaction Questionnaire(満足度)などを採用することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象者を一部変更したことの伴い、文献レビューをやり直し、評価尺度の再選定、英語尺度の翻訳作業などに時間を費やした。そのため今年度に予定していた予備調査実施まで至らなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
ADHDの治療および療育を行っている市内の医療機関にて予備調査を実施する。予備調査の実施前・中・後には、協力施設のスタッフも交えて本プログラムの修正などを行う。予備調査の実施結果を以て、他の協力施設に、研究協力の依頼を求めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
プログラム実施にかかる交通費、場所代、プログラムの資料印刷費、研究協力謝金などを予定している。
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