2012 Fiscal Year Research-status Report
自死遺族支援グループを運営・継続するために必要な要素
Project/Area Number |
23792722
|
Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
櫻井 信人 新潟県立看護大学, 看護学部, 助教 (40405056)
|
Keywords | 自死遺族 / 支援グループ / 遺族ケア |
Research Abstract |
本研究は自死遺族が自死遺族を対象とした分かち合いの場にどのような効果を期待して参加しているのかを検討したうえで、自死遺族支援グループを運営して継続していくために必要な要素を明らかにし、それらの結果を全国にある自死遺族を対象とした分かち合いの場に発信していくことを目的としている。平成23年度は、研究者らが設立した上越地域における自死遺族支援グループの活動を実践しながら、活動の評価修正および参加者への効果を検討し、その結果、自死遺族を対象とした分かち合いの場に参加する参加者は、「気持ちを共有できる場の存在」、「他者の生活や対処法」、「生活リズムの調整」、「気分転換」、「自分の内面を見つめること」、「亡くなった人と向き合うこと」、「解決できない気持ちの整理」、「気持ちの変化」、「回復」を期待して参加していることが明らかになった。この結果は平成24年度の日本自殺予防学会において「自死遺族支援グループの参加者のニードー活動を通しての検討ー」という演題で発表を行った。 また自死遺族が支援を求められるようになるまでの過程として、インタビュー調査を行った結果、自死遺族のつどいに参加しようと思うために必要な要素として「支援の存在の場所を知ること」、「自死遺族が情報を得たいと思うタイミングの一致」、「何があるのか見える安心感」、「自宅とつどいの場所までの距離」、「参加するためのエネルギーの内在」、「初めて参加した際の居心地の良さ」があげられた。この結果は平成25年度内に学会で発表予定である。今後は、自死遺族支援グループの活動を継続しながら、自殺対策に関わる専門職や自死遺族支援グループを運営するスタッフを対象に、運営に関する点を中心にインタビューを実施し、自死遺族支援グループを運営し継続して活動するために必要な要素を抽出し分析していく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は自死遺族をテーマにしている。研究の遂行に当たっては倫理委員会の承認を得ているが、対象者の選定には時間をかけながら慎重に行っているため、インタビューにまでつなげる難しさも存在している。自死遺族関連の他団体や行政等と時間をかけながらネットワークを構築しており、今後も継続して取り組んでいく。また、自死遺族支援グループの運営および活動は続けており、実践を通しても自死遺族ケアの必要性や課題は出てきている。実践活動では実際に参加者も増えており、地域のニーズや評価も頂いている。今後も活動を続けることで、活動の認知度を向上させ、幅広いネットワークを築いていき、インタビューを実施したいと考えている。現在のところ、県内の保健師職の方へまずインタビューを行い、その後、他団体の自死遺族支援を行っているスタッフを対象にインタビューを予定している。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究者らが設立した自死遺族支援グループ「はじめの会」は継続的に開催し、運営や活動を通して、スタッフ間で自死遺族のケアや継続支援について検討をし、会議等で話し合ったことをまとめる。そして県内の自殺対策に関わる保健師などの専門職へのインタビューを行うことと、全国の自死遺族支援グループの中から長期間継続的に活動をしている団体のスタッフに対しインタビューを実施し、自死遺族支援グループを継続的に運営するために必要な要素を検討していく。機会があれば当事者へのインタビューも実施する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では、インタビューに至る前のネットワークの構築や自死遺族と関係性を築いていくところに時間を要すため、旅費が多くなっている。25年度は精神保健福祉学会での発表や自殺予防学会への参加を予定している。またインタビューを実施するため、インタビューデータの逐語録作成やデータ収集のための旅費を使用する予定である。加えて、自死遺族支援グループの運営は継続していくため、運営や会議費用が必要となっている。
|
Research Products
(1 results)