2012 Fiscal Year Research-status Report
訪問看護師による精神疾患を有する人への電話相談の効果評価
Project/Area Number |
23792746
|
Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
角田 秋 聖路加看護大学, 看護学部, 助教 (50512464)
|
Keywords | 精神科訪問看護 / 訪問看護ステーション / 電話相談 |
Research Abstract |
本研究は、地域で暮らす精神障害者に対する訪問看護師による援助のうち、先行研究において特に社会機能が低い対象に多く実施されていた、訪問看護師による電話相談・対応について、その内容と効果を明らかにすることを目的として研究を開始した。 文献検討から、当初計画した訪問看護を提供する看護師よりも、訪問看護利用者に対するニーズの把握が必要であると考え、研究計画を一部変更し、25年度実施予定の訪問看護利用者対象のインタビューを実施した。利用者向けの電話相談に関するインタビューガイドを作成し、訪問看護利用者対象のインタビューの実施について、所属機関の倫理審査を通過した。就労継続支援事業所等の施設を利用し、訪問看護への電話相談が多い対象について、訪問看護師および就労支援継続事業所職員に紹介を依頼した。その結果、2事業所を利用している3名の利用者より同意が得られ、電話相談に関する30分前後の個別のインタビューを実施した。 インタビューからは、利用者と訪問看護提供者側の「電話」に対する頻度の認識の違いが認められた。また、利用者は、電話で「相談する」というよりも訪問看護師に電話することによって「確認をとる」意味合いが強いことがわかった。この3名のインタビューをもとに、最終年度は、インタビューガイドを修正し、分析をしながらインタビューを実施していくこととし、地域で精神疾患をもち暮らす人のニーズのなかで、訪問看護によって支援できる内容について、具体的に、利用者の視点で明らかにすることを目指し調査を継続していくことを計画している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
訪問看護ステーションが精神疾患を有する人へ提供している電話相談業務を整理し、対象者への効果を整理する、これによる電話相談業務の意味づけを行い、訪問看護ステーションによる訪問と電話相談を組み合わせた効率的な支援のあり方を検討することを研究目的とした。本年度は、25年度実施予定の、利用者対象の電話相談の内容・効果に関するインタビュー調査を予備的に行い、最終年度の本調査への修正点を検討することができた。現在までの達成度は予定通りと考える。来年度は、利用者の視点で、電話相談のニーズを明らかにし、訪問看護ステーションが実施できる電話を用いた支援を明らかにすることを目指し調査を継続する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究対象の紹介者である訪問看護師または就労支援継続事業所職員と、訪問看護利用者の、電話相談に関する認識に違いが認められたため、インタビュー対象を利用者のみにするのか、利用者と支援者双方に実施するのかについて、データを分析し検討する予定である。また、インタビューデータより、電話は「相談する」手段というよりも「確認する」意味合いが強かったことから、インタビューガイドを修正し、利用者の体験に基づき、どのようにニーズをくんでいけるか、分析をしながらインタビューを続け、利用者の体験をもとに結果を抽出したいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額(残金)が発生したのは、国際学会への参加が次年度になったためである。25年度は、インタビュー調査を実施するため、調査旅費、調査謝礼、インタビュー音声データの文字起こしの委託費用が発生する予定である。また、海外の学会で発表するため、旅費、学会参加費が必要となる予定である。また、学会抄録等作成のため英文校閲の業者委託を予定している。国内学会においても情報共有と実践報告の収集、発表を予定しているため、旅費、学会参加費での使用を予定している。
|