2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23820033
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
澤村 美幸 和歌山大学, 教育学部, 講師 (80614859)
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Keywords | 日本語 / 方言形成論 / 社会的視点 / 感動詞 |
Research Abstract |
本研究は、地域社会の持つ社会的性質、すなわち社会的地域性が生み出す言語的発想法と運用意識を明らかにし、それが言語表現や言語行動といった現象面にどう反映しているかを究明することで、日本語方言の形成を言語外的側面から明らかにすることを目的としている。 従来、社会との関係に注目した方言形成論は、社会構造という社会のハード面に着目し、それが名称に反映された親族語彙などの一部が対象とされてきたが、本研究では、社会構造が生み出す言語環境や行動規範が、言語の発想法や運用意識にどう反映するかという、社会のソフト面にも積極的に着目している。 当該年度は、言語的発想法を反映しやすいと考えられる言語分野の中でも、とりわけ学界でも未開拓の分野である感動詞を対象とした研究を行った。具体的には、既に全国の市町村を対象に行った通信調査の結果をすべて整理して、電子的に取り扱うことを可能にするデータベース化のための一連の作業を行った。この作業により、地理的傾向を把握するための方言分布図や計量的データの作成が可能となり、言語的発想法や運用意識を反映させやすい分野である感動詞の方言形成の実態を、社会的地域性との関連により解明するための準備が整った。 これらの結果による方言形成の詳細な分析については今年度の課題となるが、現段階においても、すでに言語的発想法と運用意識に関する多様な地域差が明らかになりつつある。今後は社会的地域性の把握をより充実させることにより、分析のさらなる深化をはかりたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究をすすめるための基礎的な作業となる調査結果のデータベース化のための作業を順調に進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
調査結果のデータベース化の作業をなるべく早く完了させたい。また、方書形成に関わる社会的地域性の把握の作業についても、隣接科学による先行研究の成果などを整理しながら進めていきたい。最終的には社会的地域性から見た方言形成論の理論化を行うことが顕的であるので、作業的な仕事を早めに終わらせることができるように頑張りたい。
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Research Products
(2 results)