2011 Fiscal Year Annual Research Report
国会図書館所蔵「朝鮮筆記」の研究-かな書き朝鮮語に着目して
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23820065
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
許 秀美 大谷大学, 文学部, 助教 (50612826)
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Keywords | 朝鮮語学書 / かな書き朝鮮語 / 倭館 |
Research Abstract |
本研究は、今まで学界に知られていなかった国立国会図書館所蔵「朝鮮筆記」という写本について、文献学的考証と言語学的検討を実施し、この写本の成立経緯を明らかにするとともに、この写本に収録されたかな書き朝鮮語についての言語学的検討とデータベースの構築を実施することを目的としている。 「朝鮮筆記」は、写本「加模西葛杜加国風説考」の後ろに合綴されているが、この「加模西葛杜加国風説考」には、「朝鮮筆記」のほかに、「文化元子年九月廿九日魯斯亜船渡来国王ヨリ我邦エ呈スルノ書」、「別勒?律安設戦記」、「或間海防漫記」、「琉球談抄書」、「無人島漂着者始末書」、「依崔天淙見殺之事従三使贈対州公之書」、「三使口上」、「傾蓋唱和録」、「鐡凾心史抄書」が収録されている。本研究においては、「朝鮮筆記」の部分とそれ以外の部分、すなわち「加模西葛杜加国風説考」、「文化元子年九月廿九日魯斯亜船渡来国王ヨリ我邦エ呈スルノ書」、「別勒?律安設戦記」、「或間海防漫記」、「琉球談抄書」、「無人島漂着者始末書」、「依崔天淙見殺之事従三使贈対州公之書」、「三使口上」、「傾蓋唱和録」、「鐡凾心史抄書」の部分とを分けて、調査・研究をおこなう計画であったが、本年度は、「加模西葛杜加国風説考」をはじめとする9種の資料につき、以下の研究・作業を実施した。 まず、「加模西葛杜加国風説考」をはじめとする9種の資料の関連文献を収集し、照合をおこなった。 その結果、それぞれの底本が明らかになった。「朝鮮筆記」が合綴されている「加模西葛杜加国風説考」をはじめとする9種の資料は、本資料の筆写者が、それぞれの底本から一部分を抜粋して筆写していたり、筆写者の意図によって改変が加えられていることが分かった。この成果は、論文にまとめ大谷学会に投稿し(2011年12月)、大谷学報に掲載された。(2012年3月)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたとおり、「朝鮮筆記」と「朝鮮筆記」が合綴されている諸資料に分けて研究を進めた結果、「朝鮮筆記」が合綴されている諸資料につき、底本が明かになり、その成果を論文として発表できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
「朝鮮筆記」の部分について、未入手資料の収集、解読、文献学的検討、言語学的検討、データベース・ハングル表記の復元作業をおこなう。 「朝鮮筆記」の「朝鮮語右訳下訓」条に収録されたかな書き朝鮮語の語彙につき、同時期に編纂されたその他のかな書き語彙集と比較しつつ、音韻面(朝鮮語かな表記の転写システム)について検討をおこなう。さらに、ハングル表記の復元をする。
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Research Products
(1 results)