2011 Fiscal Year Annual Research Report
高校以下私学助成制度の形成―国の制度変化と県の受容
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23830044
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小入羽 秀敬 広島大学, 高等教育研究開発センター, 研究員 (70609750)
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Keywords | 私学助成 / 都道府県 / 制度変化 |
Research Abstract |
本年度は全国レベルでの私学助成データの収集および複数の都道府県で教育史データや私学関係予算データの収集および分析を実施した。特に第1次生徒急増期前後および地方交付税法改正によって人件費が私学助成に計上された1970年代前後、国庫補助金制度が私学助成に導入された1979年前後のデータを収集した。集めた資料の分析を実施し、国による私学助成制度の変更が行われた時期に県による私学助成はどのように変化してきたのかについて検討を行っている。また、教育行政学や政治学、行政学などの先行研究を参照しつつ、分析枠組みの構築を行った。 本年度は国庫補助金制度が導入された1979年前後の都道府県私学助成の状況について分析を行い、国庫補助金制度が国によって導入される前に存在した都道府県間の私学助成額のばらつきが導入以降は縮小したことを明らかにした。また、詳細にばらつきの変化を検討すると、国庫補助金の導入が全国の私学助成の底上げにつながった一方で、先進的に大きな額を交付していた県が国庫補助単価に近づくように伸び率を抑えており、結果として国庫補助単価が全国の標準額として認識され、全県がそこに近づけるような助成額の設定を実施するような役割を果たしていることを示した。これは、国が国庫補助制度導入という制度変化を行ったことで県がその変化に影響され、結果として追従している状況を示している。 なお、上記の成果については、日本教育行政学会第46回大会にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クロスセクション分析および時系列分析に資する資料収集について、当初計画していた都道府県の資料収集は順調に進んでいる。また、両者を行う上で必要となる枠組み構築についても政治学や行政学など隣接領域の枠組みを参照しつつ順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度行った資料収集を継続的に実施し、さらに収集済みの資料の分析を実施する。生徒急増期前後および地方交付税法改正前後の分析を実施する予定である。また、枠組みについても引き続き教育学のみならず行政学や政治学などの隣接領域を参照しつつ構築し、最後にまとめとして総合的な時系列分析を実施する。
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Research Products
(1 results)