2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナショナリズムと人種主義をめぐる現象の比較研究--日本・フィンランドを中心に
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23830093
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
竹内 里欧 椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 講師 (40566395)
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Keywords | ナショナリズム / 文明化 / 近代日本 / 比較 / A. ケミライネン |
Research Abstract |
本研究の目的は、ナショナリズムと人種主義をめぐる現象について、比較・歴史社会学的考察を行うことである。理論的には、申請者が現在研究を行っている、フィンランドのナショナリズム研究家A.ケミライネン、ナショナリズムの比較研究の第一人者L.グリーンフェルド、文明化やナチズムについての研究者N.エリアス、G.L.モッセ等を主に参照する。こうした研究により、現代社会におけるナショナリズムや人種主義をめぐる現象の文化的・歴史的背景を、比較社会学的視点を含みつつ明らかにすることが目的である。本年は、特に、本課題の理論的参照軸の設定、及び、日本での各種歴史資料の収集・読解を行った。訪れた施設は、国会図書館、東京大学明治新聞雑誌文庫等である。分析結果について、研究会報告(「『文明』への所属をめぐる戦略」、現代社会学研究会、2011年4月23日)、学会発表(「『文明』の所属承認をめぐる戦略-A.ケミライネンの研究を導きの糸に」、第84回日本社会学会大会、2011年9月17日)、招聘報告(「『手巾』と新渡戸稲造-く擬-普遍>主義的主体化のパラドクス」、京都大学GCOEプログラム「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」、2011年8月5日)、論文執筆(「『西洋』を媒介にしたナショナリズムー-徳富蘇峰の『田舎紳士』論を題材に」『椙山女学園大学研究論集 社会科学篇』43号)を行った。特に、いまだ未解明の部分の多いフィンランド出身の歴史社会学者ケミライネンの、ナショナリズムと人種主義にかんする理論を整理したことは、今後、国際的視野のもと、ナショナリズムと人種主義にかんする現象の比較を行うにあたって有益であった。また、「人種表象の日本型グローバル研究研究会」(於京大人文研)等の研究会に出席し、分析手法について学んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の主な成果は、学会発表(「『文明』の所属承認をめぐる戦略-A.ケミライネンの研究を導きの糸に」、第84回日本社会学会大会)、招聘報告(「『手巾』と新渡戸稲造-<擬-普遍>主義的主体化のパラドクス」、京都大学GCOEプログラム)、論文執筆(「『西洋』を媒介にしたナショナリズム-徳富蘇峰の『田舎紳士』論を題材に」『椙山女学園大学研究論集 社会科学篇』43号)等である。これらは、今後の作業の下敷きとなるものであり、l年目としては、順調に進展している。その他、国会図書館、明治新聞雑誌文庫などで収集した諸資料については、これから分析の作業に移る。
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Strategy for Future Research Activity |
第2年目は、前年度に引き続き、資料の不足分を補充するとともに、国内外で、学会発表・論文投稿を行い、国際的比較の見地から得たコメントや批判をもとに、成果報告書(最終稿)を完成する。また、関西社会学会、日本社会学会などの学会、及び、国内外の研究会に出席し、資料の扱い方や方法論について学ぶ機会をもつ。また、本年度達成できなかった、フィンランドでの資料収集を行いたい。具体的には、ユバスキュラ大学、タンペレ大学、National Library of Finland(ヘルシンキ)、等に赴き、A.ケミライネンにかんする資料収集などを行う予定である。
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Research Products
(3 results)